つくば宇宙フォーラム

第27

渦状腕構造の正体

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馬場 淳一 氏

国立天文台 天文シミュレーションプロジェクト

銀河円盤の表面に存在する渦状腕構造の正体は,標準的には連続体近似 のもと「密度波」という波動現象と解釈されてきた(密度波仮説)。一方, 海外のGAIA計画や国内のJASMINE計画,VERA計画による銀河系(天 の川銀河)アストロメトリ観測で。個々の星や星形成領域などの詳細な 運動学データの取得が期待される。 従って,渦状腕構造に対して星がどのように運動しているのか,また, 星の運動が渦状腕の形成・維持にどのように関係しているのかなど,星 の運動を基本としたアプローチが必須である。 本講演では,...

第26

超新星残骸からの宇宙線の逃走

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大平 豊 氏

KEK

Hess による銀河宇宙線の発見から100年が経とうとしているが,未だその起源,加速機構は謎のままである。 起源は超新星残骸,加速機構は衝撃波統計加速がスタンダードモデルであるが,近年の観測はこのスターンダードモデルと矛盾する結果を出している。 我々は,宇宙線が超新星残骸から逃走するとき,宇宙線のスペクトルが変化することに気付き,多くの矛盾を説明できることを示した。 本講演では,スタンダードシナリオと,最近の宇宙線や超新星残骸のガンマ線観測の結果,矛盾点を紹介した後,我々の最近の研究結果を紹介す...

第25

Once upon a time in Andromeda

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森 正夫 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

過去十数年間の飛躍的な観測装置と検出器の進歩,およびそれらを最大限 活用した観測技術の向上により,宇宙の大規模な構造の形成に関する我々の理解は大幅に進んできた。その一方で個々の銀河の形成・進化過程については,多くの謎が我々に投げかけられている。本講演では,天の川銀河から最も近い大質量銀河であるアンドロメダ銀河に関して得られている多波長観測のレビューを行い,我々のグループの最近の研究成果を紹介する。 ...

第24

銀河の暗黒物質

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千葉 柾司

東北大学天文学教室

冷たい暗黒物質(CDM)の理論から期待される宇宙の大構造は,実際に観測される宇宙背景輻射の揺らぎの分布や銀河・銀河団の空間分布といった構造と良く合致することが知られている。ところが,大規模な重力多体系計算の結果から,一般の銀河やそれ以下の空間スケールにおける物質構造が,CDM理論の予言と一見矛盾するような振る舞いを示すことがわかってきた。本講演では,CDM理論の本質に関わる銀河の暗黒物質構造について,最近の研究結果と今後の展望について述べたい。 ...

第23

南極ドームふじ基地における電波天文学

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瀬田 益道 氏

筑波大学 宇宙観測研究室

近年の技術発展で,テラヘルツ帯での天体観測が現実的となってきた。ところが,大気中の水蒸気と酸素の強い吸収のため地上からの観測は困難である。マウナケア山頂やチリ北部の砂漠地帯が観測サイトとし開拓されてきたが,十分な観測条件は得られていない。南極ドームふじ基地は,南極大陸沿岸の昭和基地から 1000km内陸に位置し,低温(最低気温マイナス80度)な高地(標高3810m)であり,地上における最良のテラヘルツ帯の天体観測サイトと 期待されている。我々は,ドームふじに10mクラスのテラヘルツ望遠鏡を設置す...

第22

Gaia 時代の銀河系考古学

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河田 大介

マラード・スペース・サイエンス・ラボラトリー, ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン

銀河系は我々が最も詳細に観測できる円盤銀河の一つであり,我々は銀河系内の様々な年齢をもつ個々の星を観測することができる。このような星の運動や化学的性質は,銀河形成期の情報を含んだ化石といえ,これに基づいた研究は,しばしば“ 銀河系考古学”と呼ばばれる。銀河系考古学の観測的な研究は現在,地上望遠鏡や観測衛星を駆使した多くの計画が進行しており,特に,2012 年打ち上げ予定の Gaia 衛星によって,1億以上の銀河系の星の位置,速度の6次元位相空間情報に加え,その化学組成まで明らかになることが期待さ...

第21

天体起源の宇宙線電子・陽電子について

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川中 宣太 氏

KEK

系内の宇宙線陽電子は,標準モデルでは超新星残骸などにおいて加速された宇宙線陽子が星間物質と反応することによって生成されると考えられていた。ところが最近,PAMELAの観測により10GeV以上の陽電子フラックスが標準モデルに比べて超過していることが確認された。また,ATIC, PPB-BETS, H.E.S.S., Fermiなどの観測により,10-600GeVのエネルギー領域において電子・陽電子フラックスがやはり標準モデルの予測値を超えていることが示されている。このことは系内に何か別の電子・陽電...

第20

The role of environment on the mass buildup of supermassive black holes

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John Silverman 氏

カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)

The immediate environment of galaxies is known to influence their growth through various physical processes. Given the close connection between galaxies and their supermassive black holes, as seen through a number of observed relations (e.g., M-sigm...

第19

Suynaev-Zel'dovich Effect in Merging Galaxy Clusters

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吉川 耕司 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

銀河団には高温のプラズマ状態にある銀河団ガスが存在することが良く知られ ているが,銀河団ガスを観測する手段としては,X線領域での高温プラズマの 熱制動放射の観測が主流である。一方,銀河団ガス中の高温電子ガスが宇宙マ イクロ波背景放射の光子を逆コンプトン散乱で叩き上げるSunyaev-Zeldovich (SZ) 効果は電波領域で観測され,銀河団ガスの物理状態についてX線観測とは 相補的な情報を与えてくれる。一般にSZ効果は観測が困難で,10年前には電波 天文学において間違いなくマニアックでオタ...

第18

ブラックホールへのガス降着現象

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川口 俊宏 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

活動銀河核は,10^8太陽質量程の巨大ブラックホール(BH)へのガス降着により, 莫大なエネルギーを放射している。しかし,巨大BHの形成過程や放射の時間変動 の起源など未だ謎である。講演では,以下の最近の成果について紹介したい。 (1) 中間質量ブラックホールは存在するか? 巨大BHと,太陽の10倍程度の質量を持つ恒星質量BHの間のmissing linkとして, 中間質量BH(約1千太陽質量)が,超高光度X線源の中心に存在するのではないかと 近年疑われている。もし本当なら,巨大BHの謎...

第27

渦状腕構造の正体

馬場 淳一 氏

国立天文台 天文シミュレーションプロジェクト

銀河円盤の表面に存在する渦状腕構造の正体は,標準的には連続体近似 のもと「密度波」という波動現象と解釈されてきた(密度波仮説)。一方, 海外のGAIA計画や国内のJASMINE計画,VERA計画による銀河系(天 の川銀河)アストロメトリ観測で。個々の星や星形成領域などの詳細な 運動学データの取得が期待される。 従って,渦状腕構造に対して星がどのように運動しているのか,また, 星の運動が渦状腕の形成・維持にどのように関係しているのかなど,星 の運動を基本としたアプローチが必須である。 本講演では,...

平成23年 2月   13 : 30     銀河進化 , 銀河形成 , 数値計算
第26

超新星残骸からの宇宙線の逃走

大平 豊 氏

KEK

Hess による銀河宇宙線の発見から100年が経とうとしているが,未だその起源,加速機構は謎のままである。 起源は超新星残骸,加速機構は衝撃波統計加速がスタンダードモデルであるが,近年の観測はこのスターンダードモデルと矛盾する結果を出している。 我々は,宇宙線が超新星残骸から逃走するとき,宇宙線のスペクトルが変化することに気付き,多くの矛盾を説明できることを示した。 本講演では,スタンダードシナリオと,最近の宇宙線や超新星残骸のガンマ線観測の結果,矛盾点を紹介した後,我々の最近の研究結果を紹介す...

平成23年 1月   13 : 30     超新星残骸 , , 超高エネルギー宇宙線
第25

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Once upon a time in Andromeda

森 正夫 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

過去十数年間の飛躍的な観測装置と検出器の進歩,およびそれらを最大限 活用した観測技術の向上により,宇宙の大規模な構造の形成に関する我々の理解は大幅に進んできた。その一方で個々の銀河の形成・進化過程については,多くの謎が我々に投げかけられている。本講演では,天の川銀河から最も近い大質量銀河であるアンドロメダ銀河に関して得られている多波長観測のレビューを行い,我々のグループの最近の研究成果を紹介する。 ...

平成22年 12月   13 : 30     アンドロメダ銀河 , 観測
第24

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銀河の暗黒物質

千葉 柾司

東北大学天文学教室

冷たい暗黒物質(CDM)の理論から期待される宇宙の大構造は,実際に観測される宇宙背景輻射の揺らぎの分布や銀河・銀河団の空間分布といった構造と良く合致することが知られている。ところが,大規模な重力多体系計算の結果から,一般の銀河やそれ以下の空間スケールにおける物質構造が,CDM理論の予言と一見矛盾するような振る舞いを示すことがわかってきた。本講演では,CDM理論の本質に関わる銀河の暗黒物質構造について,最近の研究結果と今後の展望について述べたい。 ...

平成22年 11月   13 : 30     暗黒物質 , 銀河形成
第23

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南極ドームふじ基地における電波天文学

瀬田 益道 氏

筑波大学 宇宙観測研究室

近年の技術発展で,テラヘルツ帯での天体観測が現実的となってきた。ところが,大気中の水蒸気と酸素の強い吸収のため地上からの観測は困難である。マウナケア山頂やチリ北部の砂漠地帯が観測サイトとし開拓されてきたが,十分な観測条件は得られていない。南極ドームふじ基地は,南極大陸沿岸の昭和基地から 1000km内陸に位置し,低温(最低気温マイナス80度)な高地(標高3810m)であり,地上における最良のテラヘルツ帯の天体観測サイトと 期待されている。我々は,ドームふじに10mクラスのテラヘルツ望遠鏡を設置す...

平成22年 10月   13 : 30     電波観測
第22

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Gaia 時代の銀河系考古学

河田 大介

マラード・スペース・サイエンス・ラボラトリー, ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン

銀河系は我々が最も詳細に観測できる円盤銀河の一つであり,我々は銀河系内の様々な年齢をもつ個々の星を観測することができる。このような星の運動や化学的性質は,銀河形成期の情報を含んだ化石といえ,これに基づいた研究は,しばしば“ 銀河系考古学”と呼ばばれる。銀河系考古学の観測的な研究は現在,地上望遠鏡や観測衛星を駆使した多くの計画が進行しており,特に,2012 年打ち上げ予定の Gaia 衛星によって,1億以上の銀河系の星の位置,速度の6次元位相空間情報に加え,その化学組成まで明らかになることが期待さ...

平成22年 9月   13 : 30     観測 , 天の川
第21

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天体起源の宇宙線電子・陽電子について

川中 宣太 氏

KEK

系内の宇宙線陽電子は,標準モデルでは超新星残骸などにおいて加速された宇宙線陽子が星間物質と反応することによって生成されると考えられていた。ところが最近,PAMELAの観測により10GeV以上の陽電子フラックスが標準モデルに比べて超過していることが確認された。また,ATIC, PPB-BETS, H.E.S.S., Fermiなどの観測により,10-600GeVのエネルギー領域において電子・陽電子フラックスがやはり標準モデルの予測値を超えていることが示されている。このことは系内に何か別の電子・陽電...

平成22年 7月   13 : 30     超高エネルギー宇宙線
第20

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The role of environment on the mass buildup of supermassive black holes

John Silverman 氏

カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)

The immediate environment of galaxies is known to influence their growth through various physical processes. Given the close connection between galaxies and their supermassive black holes, as seen through a number of observed relations (e.g., M-sigm...

平成22年 6月   13 : 30     活動銀河核 , 銀河進化
第19

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Suynaev-Zel'dovich Effect in Merging Galaxy Clusters

吉川 耕司 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

銀河団には高温のプラズマ状態にある銀河団ガスが存在することが良く知られ ているが,銀河団ガスを観測する手段としては,X線領域での高温プラズマの 熱制動放射の観測が主流である。一方,銀河団ガス中の高温電子ガスが宇宙マ イクロ波背景放射の光子を逆コンプトン散乱で叩き上げるSunyaev-Zeldovich (SZ) 効果は電波領域で観測され,銀河団ガスの物理状態についてX線観測とは 相補的な情報を与えてくれる。一般にSZ効果は観測が困難で,10年前には電波 天文学において間違いなくマニアックでオタ...

平成22年 5月   13 : 30     銀河団 , 宇宙マイクロ波背景放射 , 宇宙論 ,
第18

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ブラックホールへのガス降着現象

川口 俊宏 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

活動銀河核は,10^8太陽質量程の巨大ブラックホール(BH)へのガス降着により, 莫大なエネルギーを放射している。しかし,巨大BHの形成過程や放射の時間変動 の起源など未だ謎である。講演では,以下の最近の成果について紹介したい。 (1) 中間質量ブラックホールは存在するか? 巨大BHと,太陽の10倍程度の質量を持つ恒星質量BHの間のmissing linkとして, 中間質量BH(約1千太陽質量)が,超高光度X線源の中心に存在するのではないかと 近年疑われている。もし本当なら,巨大BHの謎...

平成22年 4月   13 : 30     活動銀河核 , 巨大ブラックホール , 降着円盤

第27 渦状腕構造の正体

馬場 淳一 氏(国立天文台 天文シミュレーションプロジェクト)
平成23年 2月   13 : 30     銀河進化 , 銀河形成 , 数値計算

第26 超新星残骸からの宇宙線の逃走

大平 豊 氏(KEK)
平成23年 1月   13 : 30     超新星残骸 , , 超高エネルギー宇宙線

第25 Once upon a time in Andromeda

森 正夫 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)
平成22年 12月   13 : 30     アンドロメダ銀河 , 観測

第24 銀河の暗黒物質

千葉 柾司(東北大学天文学教室)
平成22年 11月   13 : 30     暗黒物質 , 銀河形成

第23 南極ドームふじ基地における電波天文学

瀬田 益道 氏(筑波大学 宇宙観測研究室)
平成22年 10月   13 : 30     電波観測

第22 Gaia 時代の銀河系考古学

河田 大介(マラード・スペース・サイエンス・ラボラトリー, ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)
平成22年 9月   13 : 30     観測 , 天の川

第21 天体起源の宇宙線電子・陽電子について

川中 宣太 氏(KEK)
平成22年 7月   13 : 30     超高エネルギー宇宙線

第20 The role of environment on the mass buildup of supermassive black holes

John Silverman 氏(カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU))
平成22年 6月   13 : 30     活動銀河核 , 銀河進化

第19 Suynaev-Zel'dovich Effect in Merging Galaxy Clusters

吉川 耕司 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)
平成22年 5月   13 : 30     銀河団 , 宇宙マイクロ波背景放射 , 宇宙論 ,

第18 ブラックホールへのガス降着現象

川口 俊宏 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)
平成22年 4月   13 : 30     活動銀河核 , 巨大ブラックホール , 降着円盤
  1. 渦状腕構造の正体, 馬場 淳一 氏(国立天文台 天文シミュレーションプロジェクト)   平成23年 2月  
  2. 超新星残骸からの宇宙線の逃走, 大平 豊 氏(KEK)   平成23年 1月  
  3. Once upon a time in Andromeda, 森 正夫 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)   平成22年 12月  
  4. 銀河の暗黒物質, 千葉 柾司(東北大学天文学教室)   平成22年 11月  
  5. 南極ドームふじ基地における電波天文学, 瀬田 益道 氏(筑波大学 宇宙観測研究室)   平成22年 10月  
  6. Gaia 時代の銀河系考古学, 河田 大介(マラード・スペース・サイエンス・ラボラトリー, ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン)   平成22年 9月  
  7. 天体起源の宇宙線電子・陽電子について, 川中 宣太 氏(KEK)   平成22年 7月  
  8. The role of environment on the mass buildup of supermassive black holes, John Silverman 氏(カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU))   平成22年 6月  
  9. Suynaev-Zel'dovich Effect in Merging Galaxy Clusters, 吉川 耕司 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)   平成22年 5月  
  10. ブラックホールへのガス降着現象, 川口 俊宏 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)   平成22年 4月