つくば宇宙フォーラム

第38

宇宙赤外線背景放射の観測による宇宙初期の探査 ~ロケット実験CIBERの最近の成果から

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松浦 周二 氏

JAXA 宇宙科学研究所

宇宙赤外線背景放射には,宇宙初期天体の寄与が予測されるため,その観測は銀河形成や宇宙論の研究に重要な情報となる。 本講演では,これを目的とするロケット実験CIBER(Cosmic Infrared Background ExpeRiment)の紹介と最近の成果について述べる。 CIBER搭載の低分散分光器を用いた波長0.75-1.8 umでのスペクトル測定を行なった結果,銀河系外からの宇宙背景放射と見なせる等方な放射の検出に成功した。 これまでの観測では,1.25um以上の近赤外域の背景放...

第37

アンモニア分子輝線で探る分子雲の物理状態

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瀬田 益道 氏

筑波大学 宇宙観測研究室

分子雲は主に水素分子から成るが,通常の低温(〜10K)な分子雲では,水素分子を直接観測できない。 そこで,分子雲は水素分子に次いで多い,COを用いて観測されてきた。 天の川や近傍の系外銀河における,分子雲の量や分布は 明らかにされたが,その物理状態(密度や温度)を求めのは容易ではない。 CO J=1-0輝線は光学的に厚く分子雲内部を見通すことは難しい。 分子雲の物理状態の解明には,高い励起状態のCO輝線や,高密度領域の観測に適した分子の輝線(例CS)を用いて,その輝線強度比から,物理状態を導出...

第36

アンドロメダの涙とリング

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森 正夫 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

近年,ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡に代表される地上大型望遠鏡を最大限活用した近傍の深宇宙探査により,現在も続く銀河進化の過程を垣間見ることができるようになってきた。 アンドロメダ銀河においては,SDSS等の観測によって,おびただしい数の暗い矮小銀河が発見されるとともに,それら矮小銀河の衝突によるものと思われるステラーストリームやステラーシェル等の痕跡が続々と明らかにされてきている。 特にアンドロメダの涙(アンドロメダストリーム)に関しては,観測・理論の両面からの研究が進展してきており,...

第35

ニュートリノの速度の測定について

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中井 直正 氏

筑波大学 宇宙観測研究室

欧州のOPERA実験に関連してニュートリノの速さが測定され,光速を超えていたという結果が9月に発表された。 その実験の概要を紹介するとともに,日本国内での検証実験の提唱について述べる。 ...

第34

宇宙磁場の起源

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高橋 慶太郎 氏

熊本大学

銀河や銀河団など宇宙の様々な天体はそれ固有の磁場を持っており天体の活動性と密接な関係がある。 しかしその起源は宇宙物理学の大きな謎であり,また個々の天体に属さず宇宙全体を満たすような宇宙論的磁場の有無もわかっていない。 本講演では宇宙初期の密度ゆらぎによって宇宙論的磁場が生成されることを示し,宇宙全体を満たすとともに銀河や銀河団の種磁場になった可能性があることを説明する。 またガンマ線や電波による観測的検証の可能性を議論する。 特にセンチ波における次世代大型電波望遠鏡Square Kilome...

第33

宇宙再電離シミュレーション

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長谷川 賢二 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

近年,様々な観測により宇宙はz~6において既に電離されており,宇宙再電離過程はそれ以前起こった事が示されている。 一方,理論的立場からみると,現在標準とされるCold Dark Matterモデルでは,小さな天体ほど先に形成される事が示されており,その為宇宙再電離を引き起こした光子源は低質量な銀河内の星々である事が期待される。 しかし,これらは小さな天体では紫外線の影響により星形成が強く阻害される事が知られており,これらの事を踏まえると,宇宙再電離は自己調節的に進んだと考えられる。  そこ...

第32

Clustered Star Formation in Dense Clumps of Molecular Clouds

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中村 文隆 氏

国立天文台 理論研究部

星の大半は星団として誕生する。 星団形成領域では複数の星が同時期に生まれるため先に生まれた星からのフィードバックが引き続き起こる星形成や周囲の環境に多大な影響を与える。 星からのフィードバックの中でも原始星アウトフローは,星団形成領域全体のガスをかき乱し,乱流場を生成するため,内部の力学構造に大きな影響を与える。 我々は,3次元MHDシミュレーションを用いて,星団形成過程において原始星アウトフローのフィードバックが果たす影響について調べてきた。 さらに,実際の星団形成領域の観測を行い,モデルの...

第31

Relativistic Jet Feedback in Radio Galaxies

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アレックス・ワグナー 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

Relativistic jets emerging from the nuclei of active galaxies can have a substantial influence on the history of star formation in bright galaxies. The interaction between the jet and the inhomogeneous ISM leaves a signature of highly disturbed and...

第30

初代星形成の輻射流体力学過程

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梅村雅之 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

これまでの研究により,重元素を含まないガスから形成される PopIII星は,100~数100太陽質量の大質量星となる可能性が 高いことが示されている。このような大質量星は,強い紫外線を放射 するため,原子の電離や分子の解離を通じて周囲のガス雲の重力 不安定に大きな影響を及ぼす。第一世代天体の中で生まれるPopIII星 の質量関数を決定するためには,このような輻射性のフィードバックを 正しく計算する必要がある。 我々は,この問題を調べるために,3次元輻射流体力学計算を行って きた。その結果,1番目...

第29

すばるで探る再電離期の宇宙

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大内 正己 氏

東京大学・宇宙線研究所

クエーサーのGunn-Petersonテストや宇宙背景放射の偏光測定から 水素の宇宙再電離は赤方偏移6-15程度に起こったことが分かっている。 しかし,宇宙再電離に関する本質的理解は殆ど進んでいない。例えば, 宇宙再電離が比較的短時間で終了するsharp reionizationだったのか その逆のextended reionizationだったのかといった問題,さらには 宇宙再電離の根本的な問題である電離プロセス(大規模構造の中での電離の伝播) に至っては,何ら解決の糸口はない。我々は,すばる...

第28

銀河系中心領域へのガス供給と銀河系中心での星形成について

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行方 大輔 氏

筑波大学

銀河中心へのガス供給過程は,巨大ブラックホールの成長過程の1つとしてのみならず, 銀河中心領域での様々な活動性を支え,銀河中心領域の構造形成と関係する過程として, 重要な研究対象である。我々はこれまで詳細な観測が行われている我々の銀河(銀河系)を 対象として,ガス供給過程について研究を進めてきた。銀河系中心には複数のコンパクトな 星団やCircumnuclear diskと呼ばれるガスリングが存在することが知られているが, その形成過程はよくわかっていない。これらの形成過程は銀河系中心へのガス供...

第38

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宇宙赤外線背景放射の観測による宇宙初期の探査 ~ロケット実験CIBERの最近の成果から

松浦 周二 氏

JAXA 宇宙科学研究所

宇宙赤外線背景放射には,宇宙初期天体の寄与が予測されるため,その観測は銀河形成や宇宙論の研究に重要な情報となる。 本講演では,これを目的とするロケット実験CIBER(Cosmic Infrared Background ExpeRiment)の紹介と最近の成果について述べる。 CIBER搭載の低分散分光器を用いた波長0.75-1.8 umでのスペクトル測定を行なった結果,銀河系外からの宇宙背景放射と見なせる等方な放射の検出に成功した。 これまでの観測では,1.25um以上の近赤外域の背景放...

平成24年 3月   13 : 45     宇宙赤外線背景放射 , 宇宙論 , 銀河形成
第37

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アンモニア分子輝線で探る分子雲の物理状態

瀬田 益道 氏

筑波大学 宇宙観測研究室

分子雲は主に水素分子から成るが,通常の低温(〜10K)な分子雲では,水素分子を直接観測できない。 そこで,分子雲は水素分子に次いで多い,COを用いて観測されてきた。 天の川や近傍の系外銀河における,分子雲の量や分布は 明らかにされたが,その物理状態(密度や温度)を求めのは容易ではない。 CO J=1-0輝線は光学的に厚く分子雲内部を見通すことは難しい。 分子雲の物理状態の解明には,高い励起状態のCO輝線や,高密度領域の観測に適した分子の輝線(例CS)を用いて,その輝線強度比から,物理状態を導出...

平成24年 2月   13 : 30     巨大分子雲 , 電波観測
第36

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アンドロメダの涙とリング

森 正夫 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

近年,ハッブル宇宙望遠鏡やすばる望遠鏡に代表される地上大型望遠鏡を最大限活用した近傍の深宇宙探査により,現在も続く銀河進化の過程を垣間見ることができるようになってきた。 アンドロメダ銀河においては,SDSS等の観測によって,おびただしい数の暗い矮小銀河が発見されるとともに,それら矮小銀河の衝突によるものと思われるステラーストリームやステラーシェル等の痕跡が続々と明らかにされてきている。 特にアンドロメダの涙(アンドロメダストリーム)に関しては,観測・理論の両面からの研究が進展してきており,...

平成24年 1月   13 : 30     アンドロメダ銀河 , 銀河進化 , 銀河の衝突合体
第35

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ニュートリノの速度の測定について

中井 直正 氏

筑波大学 宇宙観測研究室

欧州のOPERA実験に関連してニュートリノの速さが測定され,光速を超えていたという結果が9月に発表された。 その実験の概要を紹介するとともに,日本国内での検証実験の提唱について述べる。 ...

平成23年 12月   13 : 30     ニュートリノ , 基礎物理定数
第34

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宇宙磁場の起源

高橋 慶太郎 氏

熊本大学

銀河や銀河団など宇宙の様々な天体はそれ固有の磁場を持っており天体の活動性と密接な関係がある。 しかしその起源は宇宙物理学の大きな謎であり,また個々の天体に属さず宇宙全体を満たすような宇宙論的磁場の有無もわかっていない。 本講演では宇宙初期の密度ゆらぎによって宇宙論的磁場が生成されることを示し,宇宙全体を満たすとともに銀河や銀河団の種磁場になった可能性があることを説明する。 またガンマ線や電波による観測的検証の可能性を議論する。 特にセンチ波における次世代大型電波望遠鏡Square Kilome...

平成23年 11月   13 : 30     宇宙論的磁場 , SKA
第33

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宇宙再電離シミュレーション

長谷川 賢二 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

近年,様々な観測により宇宙はz~6において既に電離されており,宇宙再電離過程はそれ以前起こった事が示されている。 一方,理論的立場からみると,現在標準とされるCold Dark Matterモデルでは,小さな天体ほど先に形成される事が示されており,その為宇宙再電離を引き起こした光子源は低質量な銀河内の星々である事が期待される。 しかし,これらは小さな天体では紫外線の影響により星形成が強く阻害される事が知られており,これらの事を踏まえると,宇宙再電離は自己調節的に進んだと考えられる。  そこ...

平成23年 10月   13 : 30     再電離 , 輻射輸送 , 輻射によるフィードバック
第32

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Clustered Star Formation in Dense Clumps of Molecular Clouds

中村 文隆 氏

国立天文台 理論研究部

星の大半は星団として誕生する。 星団形成領域では複数の星が同時期に生まれるため先に生まれた星からのフィードバックが引き続き起こる星形成や周囲の環境に多大な影響を与える。 星からのフィードバックの中でも原始星アウトフローは,星団形成領域全体のガスをかき乱し,乱流場を生成するため,内部の力学構造に大きな影響を与える。 我々は,3次元MHDシミュレーションを用いて,星団形成過程において原始星アウトフローのフィードバックが果たす影響について調べてきた。 さらに,実際の星団形成領域の観測を行い,モデルの...

平成23年 9月   13 : 30     星形成 , 磁気流体力学
第31

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Relativistic Jet Feedback in Radio Galaxies

アレックス・ワグナー 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

Relativistic jets emerging from the nuclei of active galaxies can have a substantial influence on the history of star formation in bright galaxies. The interaction between the jet and the inhomogeneous ISM leaves a signature of highly disturbed and...

平成23年 7月   13 : 30     電波銀河 , 相対論的ジェット , AGNフィードバック
第30

初代星形成の輻射流体力学過程

梅村雅之 氏

筑波大学 宇宙理論研究室

これまでの研究により,重元素を含まないガスから形成される PopIII星は,100~数100太陽質量の大質量星となる可能性が 高いことが示されている。このような大質量星は,強い紫外線を放射 するため,原子の電離や分子の解離を通じて周囲のガス雲の重力 不安定に大きな影響を及ぼす。第一世代天体の中で生まれるPopIII星 の質量関数を決定するためには,このような輻射性のフィードバックを 正しく計算する必要がある。 我々は,この問題を調べるために,3次元輻射流体力学計算を行って きた。その結果,1番目...

平成23年 6月   13 : 30     初代星 , 流体力学 , , PopIII星 , 輻射輸送 , 星形成
第29

すばるで探る再電離期の宇宙

大内 正己 氏

東京大学・宇宙線研究所

クエーサーのGunn-Petersonテストや宇宙背景放射の偏光測定から 水素の宇宙再電離は赤方偏移6-15程度に起こったことが分かっている。 しかし,宇宙再電離に関する本質的理解は殆ど進んでいない。例えば, 宇宙再電離が比較的短時間で終了するsharp reionizationだったのか その逆のextended reionizationだったのかといった問題,さらには 宇宙再電離の根本的な問題である電離プロセス(大規模構造の中での電離の伝播) に至っては,何ら解決の糸口はない。我々は,すばる...

平成23年 5月   13 : 30     銀河進化 , 高赤方偏移銀河 , 再電離 , ライマン・アルファ輝線天体
第28

銀河系中心領域へのガス供給と銀河系中心での星形成について

行方 大輔 氏

筑波大学

銀河中心へのガス供給過程は,巨大ブラックホールの成長過程の1つとしてのみならず, 銀河中心領域での様々な活動性を支え,銀河中心領域の構造形成と関係する過程として, 重要な研究対象である。我々はこれまで詳細な観測が行われている我々の銀河(銀河系)を 対象として,ガス供給過程について研究を進めてきた。銀河系中心には複数のコンパクトな 星団やCircumnuclear diskと呼ばれるガスリングが存在することが知られているが, その形成過程はよくわかっていない。これらの形成過程は銀河系中心へのガス供...

平成23年 4月   13 : 30     銀河形成 , 銀河進化 , 星形成 , 天の川銀河中心域 ,

第38 宇宙赤外線背景放射の観測による宇宙初期の探査 ~ロケット実験CIBERの最近の成果から

松浦 周二 氏(JAXA 宇宙科学研究所)
平成24年 3月   13 : 45     宇宙赤外線背景放射 , 宇宙論 , 銀河形成

第37 アンモニア分子輝線で探る分子雲の物理状態

瀬田 益道 氏(筑波大学 宇宙観測研究室)
平成24年 2月   13 : 30     巨大分子雲 , 電波観測

第36 アンドロメダの涙とリング

森 正夫 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)
平成24年 1月   13 : 30     アンドロメダ銀河 , 銀河進化 , 銀河の衝突合体

第35 ニュートリノの速度の測定について

中井 直正 氏(筑波大学 宇宙観測研究室)
平成23年 12月   13 : 30     ニュートリノ , 基礎物理定数

第34 宇宙磁場の起源

高橋 慶太郎 氏(熊本大学)
平成23年 11月   13 : 30     宇宙論的磁場 , SKA

第33 宇宙再電離シミュレーション

長谷川 賢二 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)
平成23年 10月   13 : 30     再電離 , 輻射輸送 , 輻射によるフィードバック

第32 Clustered Star Formation in Dense Clumps of Molecular Clouds

中村 文隆 氏(国立天文台 理論研究部)
平成23年 9月   13 : 30     星形成 , 磁気流体力学

第31 Relativistic Jet Feedback in Radio Galaxies

アレックス・ワグナー 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)
平成23年 7月   13 : 30     電波銀河 , 相対論的ジェット , AGNフィードバック

第30 初代星形成の輻射流体力学過程

梅村雅之 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)
平成23年 6月   13 : 30     初代星 , 流体力学 , , PopIII星 , 輻射輸送 , 星形成

第29 すばるで探る再電離期の宇宙

大内 正己 氏(東京大学・宇宙線研究所)
平成23年 5月   13 : 30     銀河進化 , 高赤方偏移銀河 , 再電離 , ライマン・アルファ輝線天体

第28 銀河系中心領域へのガス供給と銀河系中心での星形成について

行方 大輔 氏(筑波大学)
平成23年 4月   13 : 30     銀河形成 , 銀河進化 , 星形成 , 天の川銀河中心域 ,
  1. 宇宙赤外線背景放射の観測による宇宙初期の探査 ~ロケット実験CIBERの最近の成果から, 松浦 周二 氏(JAXA 宇宙科学研究所)   平成24年 3月  
  2. アンモニア分子輝線で探る分子雲の物理状態, 瀬田 益道 氏(筑波大学 宇宙観測研究室)   平成24年 2月  
  3. アンドロメダの涙とリング, 森 正夫 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)   平成24年 1月  
  4. ニュートリノの速度の測定について, 中井 直正 氏(筑波大学 宇宙観測研究室)   平成23年 12月  
  5. 宇宙磁場の起源, 高橋 慶太郎 氏(熊本大学)   平成23年 11月  
  6. 宇宙再電離シミュレーション, 長谷川 賢二 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)   平成23年 10月  
  7. Clustered Star Formation in Dense Clumps of Molecular Clouds, 中村 文隆 氏(国立天文台 理論研究部)   平成23年 9月  
  8. Relativistic Jet Feedback in Radio Galaxies, アレックス・ワグナー 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)   平成23年 7月  
  9. 初代星形成の輻射流体力学過程, 梅村雅之 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)   平成23年 6月  
  10. すばるで探る再電離期の宇宙, 大内 正己 氏(東京大学・宇宙線研究所)   平成23年 5月  
  11. 銀河系中心領域へのガス供給と銀河系中心での星形成について, 行方 大輔 氏(筑波大学)   平成23年 4月