つくば宇宙フォーラム

第9

水素分子の観測

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中井 直正 氏

筑波大学 宇宙観測研究室

分子雲の主成分である水素分子H2は等核原子からなる分子なので電気双極子モーメントを持たず,分子雲の典型的な温度である~10 Kでは直接に観測することが困難である。そのため通常は双極子モーメントを持つCOの観測から間接的に水素分子の量が推定されている。しかしその推定は不確定性が大きいので,できれば直接観測できることが 望ましい。水素分子の振動回転遷移による放射は近赤外線にあり,電気四重極子による純回転遷移による放射は中間赤外線にある。特に後者は数百Kの分子雲であれば十分に放射されるので,活発な星形...

第8

初期練成を含む星団の力学進化

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谷川 衝 氏

国立天文台

球状星団は一万から百万個の星からなる天体である。星団では,その二体緩和 時間の十数倍後に重力熱力学的コア崩壊が起こるはずである。しかし,実際に は二体緩和時間の十数倍以上の年齢であるにもかかわらず,コア崩壊の起こっ ていない星団が多数存在する。星団形成と同時に形成される連星(初期連星)の 存在を考慮することは,この問題を解決するひとつの方法である。過去の研究 によって,初期連星が多数星団内に存在すれば,星団の重力熱力学的コア崩壊 が二体緩和時間の数十倍遅れることが示された。しかし,初期連星を決定...

第6

水素分子の観測

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中井 直正 氏

筑波大学 宇宙観測研究室

分子雲の主成分である水素分子H2は等核原子からなる分子なので電気双極子モーメントを持たず,分子雲の典型的な温度である~10 Kでは直接に観測することが困難である。そのため通常は双極子モーメントを持つCOの観測から間接的に水素分子の量が推定されている。しかしその推定は不確定性が大きいので,できれば直接観測できることが望ましい。水素分子の振動回転遷移による放射は近赤外線にあり,電気四重極子による純回転遷移による放射は中間赤外線にある。特に後者は数百Kの分子雲であれば十分に放射されるので,活発な星形成...

第5

The Making of The First Stars

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吉田 直記 氏

IPMU

宇宙第一世代星については,かつて間違いなく存在したは ずであると言う事以外は何も分かっていない。 第一世代星は最初の光を放ち,宇宙暗黒時代の終焉を告げ る。また進化の最後に超新星爆発をおこして重元素をばら まき,その後の原始銀河形成や宇宙再電離に大きな影響を 及ぼすと考えられる。直接観測により第一世代星の情報を 得ることは未だに困難であるが,最近では極超低金属星の 詳細な観測などから間接的な証拠を得ることができるよう になってきた。 さらに,第一世代星については理論と数値シミュレーション を組み...

第4

Warm-Hot Intergalactic Medium as Missing Baryon

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吉川 耕司 氏

筑波大学

現在の宇宙のバリオンの大半は,観測的に同定できていないMissing Baryon であることがここ10年来明らかになってきた。このMissing Baryonの正体とし て有力視されているのが,10万度から1000万度の温度を持ち宇宙の大規模構造 や銀河団外縁部に分布すると考えられている Warm-Hot Intergalactic Medium (WHIM) である。今回の発表では,WHIMの検出可能性,WHIMの形成過程で重要 となるプラズマの2温度構造,非平衡電離過程,WHIMや銀河団ガ...

第3

宇宙背景放射(CMB)偏光観測

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羽澄 昌史 氏

KEK

高エネルギー加速器研究機構(KEK)に CMB偏光観測を行う実験グループが今年誕生しました。 CMB偏光の精密観測を通して,インフレーション時に生成された 原始重力波を発見することを最大の目標としています。 発見に成功すれば,インフレーションの決定的な検証となり, 宇宙論と素粒子物理の両者へ大きなインパクトがあります。 また,重力波の初観測としての意義も非常に大きいです。 本講演では,CMB偏光観測のサイエンスと KEKグループの活動(他機関との連携も含めて) を紹介したいと思います。 ...

第2

銀河系中心領域における高速度分子ガス

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永井 誠 氏

筑波大学

星間空間に存在する分子ガスは,分子雲を形成し,星形成をはじめ様々な天体現象に関わっている。 銀河系の中心には,分子ガスが数百パーセクにわたって集中している領域がある。 銀河系中心分子層(CMZ)と呼ばれるこの領域では,銀河系円盤部には見られない特異な現象が観測されている。 講演者は,CMZにのみ存在する分子雲である「高速度コンパクト雲」に着目し,分子輝線を用いた観測的研究を進めている。 高速度コンパクト雲は,野辺山45m電波望遠鏡による一酸化炭素のミリ波の輝線(CO J=1-0)の広域サーベイで...

第1

新しい磁気リコネクションモデルの構築 ーPetschekモデルを越えてー

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新田 伸也 氏

筑波技術大学

磁気リコネクションは,プラズマ中で磁場のエネルギーを変換する素過程の一つ である。天体物理,地球磁気圏,宇宙天気予報,核融合等,多様な分野での応用 が重要視されているため,近年急速に注目されている。しかし,応用に専念でき る程,素過程の理解は十分ではないと講演者は考えている。解決策として,講演 者は新しい理論モデルを構築し,これを新たな標準理論モデルとすることを提唱 している。 プラズマ中のハイパワーエンジンプロセスとして,1964年に初めての「速いリコ ネクション」モデルであるPetschek...

第9

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水素分子の観測

中井 直正 氏

筑波大学 宇宙観測研究室

分子雲の主成分である水素分子H2は等核原子からなる分子なので電気双極子モーメントを持たず,分子雲の典型的な温度である~10 Kでは直接に観測することが困難である。そのため通常は双極子モーメントを持つCOの観測から間接的に水素分子の量が推定されている。しかしその推定は不確定性が大きいので,できれば直接観測できることが 望ましい。水素分子の振動回転遷移による放射は近赤外線にあり,電気四重極子による純回転遷移による放射は中間赤外線にある。特に後者は数百Kの分子雲であれば十分に放射されるので,活発な星形...

平成21年 3月   13 : 30     巨大分子雲 , 星形成
第8

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初期練成を含む星団の力学進化

谷川 衝 氏

国立天文台

球状星団は一万から百万個の星からなる天体である。星団では,その二体緩和 時間の十数倍後に重力熱力学的コア崩壊が起こるはずである。しかし,実際に は二体緩和時間の十数倍以上の年齢であるにもかかわらず,コア崩壊の起こっ ていない星団が多数存在する。星団形成と同時に形成される連星(初期連星)の 存在を考慮することは,この問題を解決するひとつの方法である。過去の研究 によって,初期連星が多数星団内に存在すれば,星団の重力熱力学的コア崩壊 が二体緩和時間の数十倍遅れることが示された。しかし,初期連星を決定...

平成21年 2月   13 : 30     球状星団
第7

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First Cosmic Light

アンドレア・フェラーラ 氏

Scuola Normale Superiore

The appearence of the first stars when the universe was only 100 Myr old marked the Cosmic Dawn and the occurrence of a number of physical effects (cosmic reionization, intergalactic medium metal enrichment, black hole formation, and galaxy formation...

平成21年 1月   13 : 30     初代星
第6

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水素分子の観測

中井 直正 氏

筑波大学 宇宙観測研究室

分子雲の主成分である水素分子H2は等核原子からなる分子なので電気双極子モーメントを持たず,分子雲の典型的な温度である~10 Kでは直接に観測することが困難である。そのため通常は双極子モーメントを持つCOの観測から間接的に水素分子の量が推定されている。しかしその推定は不確定性が大きいので,できれば直接観測できることが望ましい。水素分子の振動回転遷移による放射は近赤外線にあり,電気四重極子による純回転遷移による放射は中間赤外線にある。特に後者は数百Kの分子雲であれば十分に放射されるので,活発な星形成...

平成20年 12月   13 : 30     巨大分子雲 , 星形成
第5

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The Making of The First Stars

吉田 直記 氏

IPMU

宇宙第一世代星については,かつて間違いなく存在したは ずであると言う事以外は何も分かっていない。 第一世代星は最初の光を放ち,宇宙暗黒時代の終焉を告げ る。また進化の最後に超新星爆発をおこして重元素をばら まき,その後の原始銀河形成や宇宙再電離に大きな影響を 及ぼすと考えられる。直接観測により第一世代星の情報を 得ることは未だに困難であるが,最近では極超低金属星の 詳細な観測などから間接的な証拠を得ることができるよう になってきた。 さらに,第一世代星については理論と数値シミュレーション を組み...

平成20年 11月   13 : 30     初代星 , 流体力学 , 輻射輸送
第4

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Warm-Hot Intergalactic Medium as Missing Baryon

吉川 耕司 氏

筑波大学

現在の宇宙のバリオンの大半は,観測的に同定できていないMissing Baryon であることがここ10年来明らかになってきた。このMissing Baryonの正体とし て有力視されているのが,10万度から1000万度の温度を持ち宇宙の大規模構造 や銀河団外縁部に分布すると考えられている Warm-Hot Intergalactic Medium (WHIM) である。今回の発表では,WHIMの検出可能性,WHIMの形成過程で重要 となるプラズマの2温度構造,非平衡電離過程,WHIMや銀河団ガ...

平成20年 10月   13 : 30     宇宙論 , WHIM
第3

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宇宙背景放射(CMB)偏光観測

羽澄 昌史 氏

KEK

高エネルギー加速器研究機構(KEK)に CMB偏光観測を行う実験グループが今年誕生しました。 CMB偏光の精密観測を通して,インフレーション時に生成された 原始重力波を発見することを最大の目標としています。 発見に成功すれば,インフレーションの決定的な検証となり, 宇宙論と素粒子物理の両者へ大きなインパクトがあります。 また,重力波の初観測としての意義も非常に大きいです。 本講演では,CMB偏光観測のサイエンスと KEKグループの活動(他機関との連携も含めて) を紹介したいと思います。 ...

平成20年 9月   13 : 30     宇宙論 , 宇宙マイクロ波背景放射 , 重力波
第2

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銀河系中心領域における高速度分子ガス

永井 誠 氏

筑波大学

星間空間に存在する分子ガスは,分子雲を形成し,星形成をはじめ様々な天体現象に関わっている。 銀河系の中心には,分子ガスが数百パーセクにわたって集中している領域がある。 銀河系中心分子層(CMZ)と呼ばれるこの領域では,銀河系円盤部には見られない特異な現象が観測されている。 講演者は,CMZにのみ存在する分子雲である「高速度コンパクト雲」に着目し,分子輝線を用いた観測的研究を進めている。 高速度コンパクト雲は,野辺山45m電波望遠鏡による一酸化炭素のミリ波の輝線(CO J=1-0)の広域サーベイで...

平成20年 7月   13 : 30     巨大分子雲 , CMZ
第1

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新しい磁気リコネクションモデルの構築 ーPetschekモデルを越えてー

新田 伸也 氏

筑波技術大学

磁気リコネクションは,プラズマ中で磁場のエネルギーを変換する素過程の一つ である。天体物理,地球磁気圏,宇宙天気予報,核融合等,多様な分野での応用 が重要視されているため,近年急速に注目されている。しかし,応用に専念でき る程,素過程の理解は十分ではないと講演者は考えている。解決策として,講演 者は新しい理論モデルを構築し,これを新たな標準理論モデルとすることを提唱 している。 プラズマ中のハイパワーエンジンプロセスとして,1964年に初めての「速いリコ ネクション」モデルであるPetschek...

平成20年 5月   13 : 30     磁気流体力学 , 降着円盤 , 銀河団
  1. 水素分子の観測, 中井 直正 氏(筑波大学 宇宙観測研究室)   平成21年 3月  
  2. 初期練成を含む星団の力学進化, 谷川 衝 氏(国立天文台)   平成21年 2月  
  3. First Cosmic Light, アンドレア・フェラーラ 氏(Scuola Normale Superiore)   平成21年 1月  
  4. 水素分子の観測, 中井 直正 氏(筑波大学 宇宙観測研究室)   平成20年 12月  
  5. The Making of The First Stars, 吉田 直記 氏(IPMU)   平成20年 11月  
  6. Warm-Hot Intergalactic Medium as Missing Baryon, 吉川 耕司 氏(筑波大学)   平成20年 10月  
  7. 宇宙背景放射(CMB)偏光観測, 羽澄 昌史 氏(KEK)   平成20年 9月  
  8. 銀河系中心領域における高速度分子ガス, 永井 誠 氏(筑波大学)   平成20年 7月  
  9. 新しい磁気リコネクションモデルの構築 ーPetschekモデルを越えてー, 新田 伸也 氏(筑波技術大学)   平成20年 5月