つくば宇宙フォーラム

第17

地球質量ダークマターマイクロハローの形成・進化

Image

石山 智明 氏

国立天文台 理論研究部

ダークマター粒子の正体が100GeV-1TeVの質量を持つニュートラリーノであれば,最小のダークマターハローは地球質量程度になると考えられる。このマイクロハローが現在まで生き残っていると,ダークマター対消滅によるガンマ線の主なソースになるが,生き残るかどうかについては論争があった。生き残るかどうかは構造,特に中心密度によるが,従来のシミュレーションでは分解能が不足していてはっきりした結論が得られていなかった。 そこで我々は高分解能の宇宙論的N体シミュレーションを用いて,地球質量マイクロハ...

第16

ガス降着による超巨大ブラックホール形成理論構築に向けて

Image

川勝 望 氏

筑波大学 宇宙物理理論研究室

クェーサーは超巨大ブラックホールへのガス降着によって非常に明るく輝く天体である。これまでの観測から,赤方偏移6を超える宇宙でクェーサーが発見された。このことは宇宙誕生後10億年の間に太陽質量の約10億倍もの超巨大ブラックホールが形成されたことを意味している。一方で,超巨大ブラックホール形成の理解には,角運動量輸送の問題,つまり,どのように銀河の大きさの約10桁も小さい領域に大量の物質を集めるのか,という問題を解くことが重要である。 近年,我々は銀河からのガス供給と銀河核ガス円盤(6 高赤方偏...

第15

Steps towards PopIII Stellar IMF

Image

梅村 雅之 氏

筑波大学

第一世代星(PopIII星)の初期質量関数(IMF)は,宇宙再電離や原始銀河形成,初代ブラックホール形成を決定づける重要な量である。IMFを求めるためには, PopIII星の形成に必要なダークハロー質量(およびその中でのバリオンガス質量),そこで形成される星の質量を決定しなければならない。 従来の研究では,PopIII星の形成に必要なダークハロー質量は,およそ10^6Msunであり,バリオンガス質量は10^5Msunであることが示されてきた。また,形成されるPopIII星質量は100-1000M...

第14

ブラックホールの鼓動からスピンを測定する

Image

加藤 成晃 氏

JAXA

全ての銀河中心には,ブラックホールが存在すると考えられている。我々が住む天の川銀河の中心にある光源Sagittarius A* (略して Sgr A*:サジタリウスAスター)には,およそ太陽質量の400万倍のブラックホールがあると見積もられている。そして全ての星が自転しているように,ブラックホールも自転していると考えられる。しかしブラックホールの自転角運動量(スピン)を測定するのは容易ではない。なぜならブラックホール自体は事象の地平線で隔たれているからである。 とは云えブラックホールそのものが...

第13

太陽圏外圏の構造とダイナミックス -- ヴォイジャー観測を基礎にして

Image

鷲見 治一 氏

アラバマ大学ハンツビル校 CSPAR

ヴォイジャー1号(V1)は2004年末に,続いてヴォイジャー2号(V2)は2007年8月末に太陽圏外圏の終端衝撃波(TS)を通過した。太陽からの距離は夫々,94AU及び84AUであった。この10AUの差から太陽圏外圏構造が非対称な構造になっていることが示唆される。またボイジャー2号での太陽風プラズマ観測では深惑星間空間でのラム圧が日々大きく変動していることから,終端衝撃波の太陽からの距離も日々変動していることが示唆されている。我々は大規模MHD解析から,V1及びV2のTS交差の観測時間及び位置を...

第12

定在降着衝撃波不安定性の数値流体解析と重力崩壊型超新星爆発への応用

Image

佐藤 順一 氏

cea

定在降着衝撃波不安定性(SASI)は,ブラックホール降着流を背景にFoglizzo(2001,2002)により発見された不安定性である. その後,SASI は重力崩壊型超新星爆発における衝撃波停滞後にも現れることが示され,爆発のキーメカニズムとして現在注目されている. しかし,SASI を励起する基本メカニズムは解明されていない. 現在,衝撃波と降着天体間の音波によるサイクル(PAC)と移流と音波がカップルしたサイクル(AAC)のふたつが提案されている. Folgizzo(2009)(F09) ...

第11

星形成過程でのジェットとアウトフロー現象の解明

Image

町田 正博 氏

京都大学 天体核研究室

星形成領域で原始星からのアウトフローが数多く観測されている。 近年の詳細な観測から,これらのフローは低速(双極分子流)と高速 (光学ジェット)の成分に分けられることが分かってきた。また,こ れらは,星形成過程と密接に関連していると考えられているが,そ の起源や駆動メカニズムは,よく分かっていない。 我々は,3次元磁気散逸MHD多層格子法を用いて分子雲コアから原始 星が形成するまでの直接計算を行った。その結果,分子雲の収縮過程 で,性質の異なる2種類のフローが駆動しうることを求めた。また, 各々...

第10

銀河衝突におけるスターバーストと星団形成

Image

斎藤 貴之 氏

国立天文台 理論研究部

アンテナ銀河のような衝突初期の相互作用銀河は広がったスターバースト領域と星団形成領域を持つことが知られている。しかしながら,従来の相互作用銀河の数値シミュレーションでは,スターバーストは合体の最終段階でしかおきていなかった。本講演では,これら観測的特徴が超高分解能の銀河衝突シミュレーションのもとで自然に生じることを確認したので報告する。 従来の銀河衝突シミュレーションでは,ガス粒子質量は 106 太陽質量程度であり,状態方程式は等温(~104 K)か,104 K 程度で冷却を止めるものであった...

第17

Image

地球質量ダークマターマイクロハローの形成・進化

石山 智明 氏

国立天文台 理論研究部

ダークマター粒子の正体が100GeV-1TeVの質量を持つニュートラリーノであれば,最小のダークマターハローは地球質量程度になると考えられる。このマイクロハローが現在まで生き残っていると,ダークマター対消滅によるガンマ線の主なソースになるが,生き残るかどうかについては論争があった。生き残るかどうかは構造,特に中心密度によるが,従来のシミュレーションでは分解能が不足していてはっきりした結論が得られていなかった。 そこで我々は高分解能の宇宙論的N体シミュレーションを用いて,地球質量マイクロハ...

平成22年 2月   13 : 30     暗黒物質 , 宇宙論 , N体シミュレーション , 数値計算
第16

Image

ガス降着による超巨大ブラックホール形成理論構築に向けて

川勝 望 氏

筑波大学 宇宙物理理論研究室

クェーサーは超巨大ブラックホールへのガス降着によって非常に明るく輝く天体である。これまでの観測から,赤方偏移6を超える宇宙でクェーサーが発見された。このことは宇宙誕生後10億年の間に太陽質量の約10億倍もの超巨大ブラックホールが形成されたことを意味している。一方で,超巨大ブラックホール形成の理解には,角運動量輸送の問題,つまり,どのように銀河の大きさの約10桁も小さい領域に大量の物質を集めるのか,という問題を解くことが重要である。 近年,我々は銀河からのガス供給と銀河核ガス円盤(6 高赤方偏...

平成22年 1月   13 : 30     巨大ブラックホール
第15

Image

Steps towards PopIII Stellar IMF

梅村 雅之 氏

筑波大学

第一世代星(PopIII星)の初期質量関数(IMF)は,宇宙再電離や原始銀河形成,初代ブラックホール形成を決定づける重要な量である。IMFを求めるためには, PopIII星の形成に必要なダークハロー質量(およびその中でのバリオンガス質量),そこで形成される星の質量を決定しなければならない。 従来の研究では,PopIII星の形成に必要なダークハロー質量は,およそ10^6Msunであり,バリオンガス質量は10^5Msunであることが示されてきた。また,形成されるPopIII星質量は100-1000M...

平成21年 12月   13 : 30     初代星 , 流体力学 , 数値計算
第14

Image

ブラックホールの鼓動からスピンを測定する

加藤 成晃 氏

JAXA

全ての銀河中心には,ブラックホールが存在すると考えられている。我々が住む天の川銀河の中心にある光源Sagittarius A* (略して Sgr A*:サジタリウスAスター)には,およそ太陽質量の400万倍のブラックホールがあると見積もられている。そして全ての星が自転しているように,ブラックホールも自転していると考えられる。しかしブラックホールの自転角運動量(スピン)を測定するのは容易ではない。なぜならブラックホール自体は事象の地平線で隔たれているからである。 とは云えブラックホールそのものが...

平成21年 11月   13 : 30     ブラックホール , 降着円盤
第13

Image

太陽圏外圏の構造とダイナミックス -- ヴォイジャー観測を基礎にして

鷲見 治一 氏

アラバマ大学ハンツビル校 CSPAR

ヴォイジャー1号(V1)は2004年末に,続いてヴォイジャー2号(V2)は2007年8月末に太陽圏外圏の終端衝撃波(TS)を通過した。太陽からの距離は夫々,94AU及び84AUであった。この10AUの差から太陽圏外圏構造が非対称な構造になっていることが示唆される。またボイジャー2号での太陽風プラズマ観測では深惑星間空間でのラム圧が日々大きく変動していることから,終端衝撃波の太陽からの距離も日々変動していることが示唆されている。我々は大規模MHD解析から,V1及びV2のTS交差の観測時間及び位置を...

平成21年 10月   13 : 30     太陽風 , 磁気流体力学
第12

Image

定在降着衝撃波不安定性の数値流体解析と重力崩壊型超新星爆発への応用

佐藤 順一 氏

cea

定在降着衝撃波不安定性(SASI)は,ブラックホール降着流を背景にFoglizzo(2001,2002)により発見された不安定性である. その後,SASI は重力崩壊型超新星爆発における衝撃波停滞後にも現れることが示され,爆発のキーメカニズムとして現在注目されている. しかし,SASI を励起する基本メカニズムは解明されていない. 現在,衝撃波と降着天体間の音波によるサイクル(PAC)と移流と音波がカップルしたサイクル(AAC)のふたつが提案されている. Folgizzo(2009)(F09) ...

平成21年 9月   13 : 30     超新星 , 数値計算
第11

Image

星形成過程でのジェットとアウトフロー現象の解明

町田 正博 氏

京都大学 天体核研究室

星形成領域で原始星からのアウトフローが数多く観測されている。 近年の詳細な観測から,これらのフローは低速(双極分子流)と高速 (光学ジェット)の成分に分けられることが分かってきた。また,こ れらは,星形成過程と密接に関連していると考えられているが,そ の起源や駆動メカニズムは,よく分かっていない。 我々は,3次元磁気散逸MHD多層格子法を用いて分子雲コアから原始 星が形成するまでの直接計算を行った。その結果,分子雲の収縮過程 で,性質の異なる2種類のフローが駆動しうることを求めた。また, 各々...

平成21年 6月   13 : 30     星形成 , 原始星 , 磁気流体力学 , 巨大分子雲
第10

Image

銀河衝突におけるスターバーストと星団形成

斎藤 貴之 氏

国立天文台 理論研究部

アンテナ銀河のような衝突初期の相互作用銀河は広がったスターバースト領域と星団形成領域を持つことが知られている。しかしながら,従来の相互作用銀河の数値シミュレーションでは,スターバーストは合体の最終段階でしかおきていなかった。本講演では,これら観測的特徴が超高分解能の銀河衝突シミュレーションのもとで自然に生じることを確認したので報告する。 従来の銀河衝突シミュレーションでは,ガス粒子質量は 106 太陽質量程度であり,状態方程式は等温(~104 K)か,104 K 程度で冷却を止めるものであった...

平成21年 5月   13 : 30     星形成 , 銀河形成

第17 地球質量ダークマターマイクロハローの形成・進化

石山 智明 氏(国立天文台 理論研究部)
平成22年 2月   13 : 30     暗黒物質 , 宇宙論 , N体シミュレーション , 数値計算

第16 ガス降着による超巨大ブラックホール形成理論構築に向けて

川勝 望 氏(筑波大学 宇宙物理理論研究室)
平成22年 1月   13 : 30     巨大ブラックホール

第15 Steps towards PopIII Stellar IMF

梅村 雅之 氏(筑波大学)
平成21年 12月   13 : 30     初代星 , 流体力学 , 数値計算

第14 ブラックホールの鼓動からスピンを測定する

加藤 成晃 氏(JAXA)
平成21年 11月   13 : 30     ブラックホール , 降着円盤

第13 太陽圏外圏の構造とダイナミックス -- ヴォイジャー観測を基礎にして

鷲見 治一 氏(アラバマ大学ハンツビル校 CSPAR)
平成21年 10月   13 : 30     太陽風 , 磁気流体力学

第12 定在降着衝撃波不安定性の数値流体解析と重力崩壊型超新星爆発への応用

佐藤 順一 氏(cea)
平成21年 9月   13 : 30     超新星 , 数値計算

第11 星形成過程でのジェットとアウトフロー現象の解明

町田 正博 氏(京都大学 天体核研究室)
平成21年 6月   13 : 30     星形成 , 原始星 , 磁気流体力学 , 巨大分子雲

第10 銀河衝突におけるスターバーストと星団形成

斎藤 貴之 氏(国立天文台 理論研究部)
平成21年 5月   13 : 30     星形成 , 銀河形成
  1. 地球質量ダークマターマイクロハローの形成・進化, 石山 智明 氏(国立天文台 理論研究部)   平成22年 2月  
  2. ガス降着による超巨大ブラックホール形成理論構築に向けて, 川勝 望 氏(筑波大学 宇宙物理理論研究室)   平成22年 1月  
  3. Steps towards PopIII Stellar IMF, 梅村 雅之 氏(筑波大学)   平成21年 12月  
  4. ブラックホールの鼓動からスピンを測定する, 加藤 成晃 氏(JAXA)   平成21年 11月  
  5. 太陽圏外圏の構造とダイナミックス -- ヴォイジャー観測を基礎にして, 鷲見 治一 氏(アラバマ大学ハンツビル校 CSPAR)   平成21年 10月  
  6. 定在降着衝撃波不安定性の数値流体解析と重力崩壊型超新星爆発への応用, 佐藤 順一 氏(cea)   平成21年 9月  
  7. 星形成過程でのジェットとアウトフロー現象の解明, 町田 正博 氏(京都大学 天体核研究室)   平成21年 6月  
  8. 銀河衝突におけるスターバーストと星団形成, 斎藤 貴之 氏(国立天文台 理論研究部)   平成21年 5月