つくば宇宙フォーラム

第116

冬眠するブラックホール:銀河衝突とブラックホールの活動性

森 正夫 氏

筑波大学 計算科学研究センター


要旨

宇宙には太陽質量の100万倍を超える大質量ブラックホールが遍く存在する。ごく一部の大質量ブラックホールは落ち込む物質をエネルギー源にして明るく輝き,激しい活動性を示すが,そのほとんどは銀河の中心でひっそりと佇んでいる。しかし,こうしたブラックホールの活動と休眠の間の状態変化をつかさどるメカニズムは,未だ完全には解明されていない。我々は銀河衝突と銀河中心ブラックホールの活動性の関係を詳細に調べた。これまで,銀河衝突で銀河中心ブラックホールは激しく活動すると信じられてきた。衝突によって銀河円盤の物質が中心に落下し,ブラックホールに落ち込むことでその活動が活性化する。しかし,銀河衝突が中心で起こった場合には事態は全く異なる。矢が正鵠を射ぬくがごとく,衝突した銀河がブラックホール周辺のガスを持ち去ってしまい,エネルギー源を失ったブラックホールは活動を停止してしまう場合を見出した。本発表では,研究成果の詳細と周辺研究について報告する。

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