つくば宇宙フォーラム

第107

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赤方偏移3の宇宙網における銀河形成研究の現在地

梅畑 豪紀 氏

理化学研究所


要旨

冷たい暗黒物質に基づく構造形成モデルでは,暗黒物質やバリオンは重力進化の結果として宇宙網(Cosmic Web)と呼ばれる蜘蛛の巣状のネットワーク構造を成していると考えられている。これまで,このような宇宙網の結節点でガスの流入,凝集が進み銀河が形成されるとの理論的描像が広く受け入れられており,このガスネットワークを実際に検出しようという試みが長年行われてきた。我々は赤方偏移3.1の原始銀河団中心部において1Mpc以上の広がりを持つ水素ガスのフィラメント構造を捉え,実際にフィラメントに沿って多くの銀河や巨大ブラックホールの形成が進んでいることを明らかにした。本講演では,VLT/MUSEによる可視面分光観測,ALMAによる(サブ)ミリ波観測によって見えてきた宇宙網を舞台とした銀河形成の姿を紹介する。

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