つくば宇宙フォーラム

第127

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Probing the impact of feedback by cosmological hydrodynamic simulations

長峯 健太郎 氏

大阪大学


要旨

宇宙背景放射の観測によって,$\Lambda$ cold dark matter (CDM)モデルが標準宇宙モデルとして確立されて,大スケールでは$\Lambda$CDMモデルは非常に成功しており,宇宙大規模構造のバックボーンを提供している。しかし,1Mpc以下の小スケールにおいては,銀河形成に関する理解はまだ多くのギャップがある。特に,超新星爆発やSMBHからのフィードバックは,銀河やSMBH自体の成長を自己制御する上で重要な役割を果たしているが,その詳細なメカニズムはまだよくわかっていない。

宇宙論的流体シミュレーションは,銀河や超巨大ブラックホール(SMBH)の形成を宇宙論的に研究するために不可欠なツールとなっている。最近の高解像度ズームインシミュレーションの中には,10パーセク以下の解像度を達成したものもある。しかし,赤方偏移z=0までの多数の銀河をこのような高解像度でシミュレーションすることはまだ難しく,星形成とフィードバックに関しては物理的なsubgrid モデルが依然として必要である。

本講演では,スーパーバブルの高分解能シミュレーションに基づくフィードバックモデルを開発するための最近の取り組みについて説明する(Oku et al. 2022)。また,宇宙論的流体シミュレーションと銀河の観測,IGMトモグラフィー,相互相関関数などとの比較から,フィードバックモデルを区別する可能性を示す(Momose et al. 2021abc; Nagamine et al. 2021)。また,時間が許せば銀河シミュレーションにおけるダストの形成・破壊モデルの実装結果についても示す。

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