第123回
初代星はわれわれの宇宙で最初の輝く天体であり,重元素をはじめて生みだす天体でもあるため,宇宙史のなかで特に重要な役割を担っている。しかしながら,いまだ観測的にその直接的な痕跡は得られていない。現在,多波長で新世代の観測機器の運用・観測計画が開始されており,2020-30年代の初代星痕跡の発見が期待される段階にきている。また,重力波干渉計LIGO・VIRGOによる重力波イベントの検出により,重力波を道具とする新時代へと突入した。そのため,初代天体について理論と観測とをつなげて理解を深める研究が求められている。そこで本研究では,初代星の痕跡の観測的な実証にむけて,理論面から多角的にアプローチした。
初代星の痕跡に迫るため,本研究では以下の3点に着目した研究を行った。