つくば宇宙フォーラム

第112

Image

Supermassive star formation via super competitive accretion in slightly metal-enriched clouds

鄭 昇明 氏

東北大学 天体理論グループ


要旨

近年の遠方クエーサーサーベイにより z > 6 において,数多くの超大質量ブラックホール (SMBH) が見つかっている。これら SMBH の形成モデルの一つとして,宇宙初期に形成される超大質量星 (SMS) が残すBHを種とする Direct Collapse モデルがある。宇宙初期において強い輻射を受けるなどの特殊な環境下にあるガス雲では,水素分子冷却が阻害されることでSMS が形成されると考えられている。これまではガス雲が始原的であることが SMS 形成に至る条件の一つと考えられていた。低金属量環境下ではダストの冷却によって激しく分裂が起こることが示唆されるものの,星の最終質量についての定量的な議論は未だなされていない。 我々は低金属環境下においてもこのような SMS が形成可能か否かを,数値計算を用いて調べた。具体的には Omukai et al. (2008) で得られた Z < 10^−3 Z⊙ での状態方程式を用いて,3次元流体計算を行う。結果としてZ < 10^−4 Z⊙ という低金属量環境では,高密度でのダスト冷却はガス雲の分裂を促進するものの,SMS 形成を阻害しないことを示した。これはダストによるの冷却・分裂はガスの大局的な流れを変えることがないためである。結果として,依然として中心星への高い降着率 (∼ 1 M⊙ yr−1 ) が実現する。1 万年の進化を計算したところ金属量にほぼ依らず,中心星の質量は 6–8 × 10^3 M⊙ に至った。この結果は Z < 10^−4 Z⊙ という低金属量環境下でも,SMS 形成が可能なことを示唆する。本セミナーではこれまでのSMBH形成モデルをレビューしつつその問題点を概観し,以上の結果を紹介する。

Image