つくば宇宙フォーラム

第98

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原始惑星系円盤のALMA偏光観測

大橋 聡史 氏

理化学研究所(惑星形成研究室)


要旨

近年,ALMA望遠鏡による高感度,高分解能観測によって原始惑星系円盤をこれまでにない解像度でイメージングし,リングやギャップ構造などの様々な特徴をもつ円盤を捉えてきた。 原始惑星系円盤において惑星が形成するためには,ダストを0.1 umサイズから1000 kmサイズへと10桁以上成長する過程を考えなければならない。そこで,原始惑星系円盤でどこでどのようにダスト成長が開始するのかを観測から明らかにすることが重要となる。 最近,偏光によってダストのサイズを見積もる方法が提唱されている(e.g., Kataoka et al. 2016)。これはダストが成長することでダストの散乱係数が高くなり(アルベドが高くなり),ダストの熱放射が散乱されるためである。しかしながら,従来の偏光のメカニズムとして,磁場に沿ったダスト整列による熱輻射が考えられてきた。さらに輻射によるダストの整列によっても偏光が起こる可能性も示唆され(Lazarian & Hoang 2007, Tazaki et al. 2017),原始惑星系円盤での偏光メカニズムはよくわかっていない。 そこで我々はALMAによる高分解能の偏光観測を原始惑星系円盤 HD 142527に対して行い,偏光メカニズムの同定と,その起源,ダスト成長の様子について調べた。さらに他のALMA偏光観測の結果も交え,偏光観測からわかる円盤構造について議論する。

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