つくば宇宙フォーラム

第74

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近傍矮小銀河で探る暗黒物質の正体

林 航平 氏

カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU)


要旨

矮小銀河は階層的構造形成の枠組みの中で,大きな銀河を作る種として考えられ,また宇宙初期から存在する始原的な天体であると考えられている。よって,宇宙の構造形成や銀河の形成・進化を知る上で非常に注目すべき天体の1つである。さらに矮小銀河はダークマターが支配的な系であるため,ダークマターの基本的性質を知る上でも重要な天体であると言える。特にその質量構造は,宇宙を記述する理論的パラダイムである冷たい暗黒物質(Cold Dark Matter;CDM)理論が予言するそれと大きく異なっており,CDM理論の大きな問題点として物議を呼んでいる。本講演では,矮小銀河の動力学解析に基づいた暗黒物質の研究について紹介し,その現状と新たな問題点について議論していく。また,すばるHyper Suprime-Cam(HSC)やPrime Focus Spectrograph(PFS)を用いた矮小銀河研究の将来展望についても紹介する。

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