つくば宇宙フォーラム

第28

銀河系中心領域へのガス供給と銀河系中心での星形成について

行方 大輔 氏

筑波大学


要旨

銀河中心へのガス供給過程は,巨大ブラックホールの成長過程の1つとしてのみならず, 銀河中心領域での様々な活動性を支え,銀河中心領域の構造形成と関係する過程として, 重要な研究対象である。我々はこれまで詳細な観測が行われている我々の銀河(銀河系)を 対象として,ガス供給過程について研究を進めてきた。銀河系中心には複数のコンパクトな 星団やCircumnuclear diskと呼ばれるガスリングが存在することが知られているが, その形成過程はよくわかっていない。これらの形成過程は銀河系中心へのガス供給過程と 関係すると考えられ,これらの形成過程を調べることで,ガス供給過程について理解できると 考えている。

本講演では,まず銀河系中心領域の星・ガス分布の簡単なレビューを行った後, Namekata & Habe(2011)の結果を紹介する。この研究では,ガス円盤の自己重力不安定に よって,銀河系中心領域の星分布やガス分布が形成される可能性について, 数値流体/N体シミュレーションを用いて調べている。 計算結果と銀河系中心領域の観測と比較を行った結果,もし現在の銀河系中心の星分布や ガス分布が重たいガス円盤の進化の結果としてが形成されたとしたら, 銀河系中心領域では星形成が抑制されている必要があるという結果が得られた。