つくば宇宙フォーラム

第153

Carbon-Chain Chemistry in Active Star-Forming Regions

谷口 琴美 氏

国立天文台


要旨

炭素原子が連なった"炭素鎖分子"は星間空間特有の分子である。現在までに発見された約320種類の星間分子のうち,おおよそ40%が炭素鎖分子に分類される。炭素鎖分子に関する化学の研究は,太陽系近傍の低質量星形成領域で行われてきた。その一方で,太陽より8倍以上質量が大きい大質量星が誕生しているような大質量星形成領域やクラスター領域における炭素鎖分子の観測的研究は遅れていた。本講演では,最初に低質量星形成領域で確立された炭素鎖分子の化学に関する基礎的な知識を紹介した後,ALMAを用いた大質量星形成領域における炭素鎖分子の研究の成果について紹介する。また,野辺山 45 m 電波望遠鏡に新しく搭載した extended Q-band (eQ) 受信機を用いた,Serpens South クラスター領域にある星なしの pre-cluster clump におけるQバンドのラインサーベイ観測を示す。また,最近の Green Bank 100 m 望遠鏡や Yebes 40 m 望遠鏡の観測結果から,星間化学の前提に関して根本的な課題が見つかってきている。この課題を解決するための研究計画に関して議論したい。




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