つくば宇宙フォーラム

第102

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分子雲衝突による大質量星形成とフィードバックによる誘発的星形成

島 和宏 氏

京都大学 天体核研究室


要旨

近年,大質量星や大質量星団の形成過程として分子雲衝突が注目されている。Takahira et al (2014) では2つの分子雲を衝突させる3次元流体シミュレーションを行って 100 [太陽質量] を超える高密度乱流コアが形成されることを報告している。しかし,彼らの計算ではコアでの星形成やフィードバックは考慮されていなかった。大質量星が形成されるとその強力な輻射フィードバックによって母体となった分子雲の物理状態は大きく変化し,その後の星形成が影響を受けると考えられる。そこで我々は Takahira et al (2014) の計算に星形成を仮定するためのシンク粒子を導入し,大質量星からの輻射を adaptive ray-tracing 法で計算するシミュレーションを新たに行った。Spizter バブルに代表されるようなバブル構造,PV図におけるブリッジ構造など,分子雲衝突の観測的証拠と思われている特徴をシミュレーションで再現した例を紹介する。また大質量星からの輻射の影響を受けたガスにおける星形成の例を紹介しながら,フィードバックによる誘発的星形成の可能性についても議論する。

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