つくば宇宙フォーラム

第86

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長波長非線形揺らぎから探る初期宇宙モデル

高水 裕一 氏

筑波大学, 宇宙物理論研究室


要旨

初期宇宙を起源とする初期密度揺らぎは,宇宙における根源的な「構造の種」であり, これらがやがて銀河や銀河団といった宇宙の大規模構造を形成してきた。近年の衛星技術によって PLANCKやWMAPといった衛星観測が実現し,初期密度揺らぎの精密観測に成功し,多くの重要な観測事実を得ている。 とくに揺らぎの二点相関や三点相関といった量をみることが,初期宇宙の加速膨張を引き起こしているインフレーションモデルを観測から選別すること上で非常に重要となっている。本講演では,そこで重要となる宇宙の地平線スケールを超えるような長波長揺らぎに注目し,その非線形進化を扱う我々の定式化を紹介し,非線形揺らぎから初期宇宙モデルを探る手法を議論していく。

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