第67回
低光度AGN(2型セイファートやLINER)にある巨大質量ブラックホールの周囲を回転しているメーザー円盤の構造を水蒸気メーザーのVLBI観測で求め,円盤の加速度(速度変化)を単一鏡観測で測定してこれらを組み合わせると,銀河までの距離を決定することができる。これは幾何学的な原理で銀河までの距離を直接に求める方法である。最初はNGC 4258(M106)に適用されたが,その後他の銀河にも適用され,銀河距離からハッブル定数の推定もなされている。本講演ではこの方面の最近の研究の状況を報告する。