第27回
銀河円盤の表面に存在する渦状腕構造の正体は,標準的には連続体近似 のもと「密度波」という波動現象と解釈されてきた(密度波仮説)。一方, 海外のGAIA計画や国内のJASMINE計画,VERA計画による銀河系(天 の川銀河)アストロメトリ観測で。個々の星や星形成領域などの詳細な 運動学データの取得が期待される。 従って,渦状腕構造に対して星がどのように運動しているのか,また, 星の運動が渦状腕の形成・維持にどのように関係しているのかなど,星 の運動を基本としたアプローチが必須である。
本講演では,最近の我々の大規模シミュレーションから得られてきた, 星々の集団運動の観点からの恒星系渦状腕の正体や,その変動性,そして, 恒星系渦状腕維持機構との関係(Baba+ in prep.; Fujii, Baba+2011, ApJ)を 中心に紹介する。
また,(時間があれば)天の川銀河のCO観測のl-v図に見られる構造と渦状 腕構造との対応関係(Baba et al. 2010, PASJ)や,渦状腕ダイナミクスと 星間ガスの相互作用(Wada, Baba+2011),棒状銀河の中心領域における ガスダイナミクスと星形成活動などの研究も紹介したい。