第13回
ヴォイジャー1号(V1)は2004年末に,続いてヴォイジャー2号(V2)は2007年8月末に太陽圏外圏の終端衝撃波(TS)を通過した。太陽からの距離は夫々,94AU及び84AUであった。この10AUの差から太陽圏外圏構造が非対称な構造になっていることが示唆される。またボイジャー2号での太陽風プラズマ観測では深惑星間空間でのラム圧が日々大きく変動していることから,終端衝撃波の太陽からの距離も日々変動していることが示唆されている。我々は大規模MHD解析から,V1及びV2のTS交差の観測時間及び位置を満たす解を見出すことに成功した。惑星間衝撃波がTSに衝突した際にTS位置を押し上げ,同時に下流側即ちヘリオシース(TSとヘリオポーズ間の層)中に磁気音波パルス(fast shock)を励起し,そのパルスが外側に伝播し,ヘリオポーズ付近にて反射,ヘリオシース中を逆行して再びTSと衝突する。その際にTSの位置が大きく減少する(太陽側に近づける)過程も明らかにすることが出来た。またTS粒子と呼ばれる高エネルギー粒子はヘリオシースからの拡散過程で深惑星間空間に侵入して来るが,V1及びV2でのTS粒子の観測と我々の得たTS位置との相関も良い。 これら太陽圏の構造とダイナミックスの解析結果が本講演の主題であるが,他方太陽圏の研究自体は一般的な恒星圏の研究との関連も重要である。本講演ではSN1987Aの3リング構造及び双極流状惑星状星雲構造との関連において,磁気圧及び極域高速流に共通した効果があることについての指摘もしたい。