つくば宇宙理論セミナー

第40

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輻射フィードバック下での初代星連星形成シミュレーション

杉村 和幸 氏

東北大学


要旨

ビッグバン後に宇宙で最初の星が形成するまでの過程を明らかにすることは,現代理論宇宙物理学における大きな目標の一つである。これまで初代星形成についての研究は精力的に進められており,ガス降着により初代星質量が決まる過程において,原始星からの輻射フィードバックが鍵となることが明らかにされている。しかし,初代星の母体となるガス雲が分裂して連星や多重星ができる場合に,輻射フィードバック下でどのような星の系が誕生するかの理解はほとんど進んでいない。そこで,本研究では,自己重力AMR MHDコードである「SFUMATO」(Matsumoto 2007) に,非平衡熱・化学進化,初代星原始星進化,Adaptive ray tracing 法に基づく輻射輸送,の各モジュールを追加した新たなコードを開発し,初代星連星形成の輻射流体シミュレーションを進めている。本講演では,まず,初代星形成研究の現状を簡単にレビューした後,今回開発したコードの紹介,および,初代星連星形成シミュレーションの初期成果についての報告をおこなう。

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