つくば宇宙理論セミナー

第24

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天の川銀河のビルディングブロックはライマンアルファエミッターだったのか?

矢島 秀伸 氏

ペンシルバニア州立大学


要旨

現在,ライマンアルファ輝線を強く放射する銀河が広い赤方偏移に渡って多数観測されている。それらはライマンアルファエミッター(LAEs)と呼ばれ,銀河進化の初期段階にある天体と考えられている。しかしながら,その形成,進化は現在も不明な点が多い。特に高赤方偏移に多数観測されているLAEsがどのように低赤方偏移の銀河に進化するかは銀河進化を理解する上で非常に重要である。我々はその第一歩として,z=0で天の川銀河を再現するような宇宙論的流体計算の結果を用いて,天の川銀河の高赤方編移におけるビルディングブロックのライマンアルファ特性を3次元輻射輸送計算により調べた。結果として,天の川銀河のビルディングブロッグは現在観測されているLAEsの典型的明るさに近いLAEsになりうることが分かった。

本講演では,これらモデル銀河においてライマンアルファ光子がどのように生まれ,銀河から脱出するのか,そしてそれらは赤方偏移と共にどのように変化していくかを紹介する。また,ライマンアルファ輝線と紫外,赤外連続光における特性の違い,次世代観測機器JWST, ALMAでこれらモデル銀河がどのように観測されうるかについても議論する。

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