Tsukuba Uchu Forum

77th Uchu Forum

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活動銀河核アウトフローの輻射流体シミュレーション

Mariko Nomura

University of Tsukuba, Center for Computational Sciences, Theoretical Astrophysics Group


Abstract

活動銀河核(Active Galactic Nuclei; AGN)とは強力な輻射やジェットを伴う銀河の中心核であり,その活動のエネルギー源は巨大ブラックホールとその周囲を取り巻くガス降着円盤であると考えられている。AGNの輻射スペクトルにブルーシフトした吸収線が発見され,降着円盤からはジェットとは異なるアウトフローが噴出していることがわかってきた。一部のアウトフローは,大きな質量・エネルギーを放出しており,巨大ブラックホールと母銀河の進化過程において重要な役割を担っている可能性がある。しかしながらアウトフローの加速メカニズムや空間構造はよくわかっていない。我々は,アウトフローの有力モデルの一つであるラインフォース駆動型円盤風に着目している。ラインフォースとは中間電離状態の金属元素が紫外光を束縛-束縛遷移で吸収する際に受ける力である。我々は輻射流体シミュレーションを行い,Ultra-Fast Outflow(UFO)と呼ばれるアウトフローの速度,電離状態,柱密度の観測的特徴,さらには最近のX線観測によって得られた,質量・エネルギー放出率のAGN光度依存性がラインフォース駆動型円盤風によってよく説明できることを明らかにした。本フォーラムではこれらの結果について紹介する。

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