Tsukuba Uchu Forum

87th Uchu Forum

SCF法による無衝突恒星系のシミュレーション

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Shunsuke Hozumi

University of Shiga

SCF (Self-Consistent Field)法は,無衝突恒星系のシミュレーションを行うN体計算の手法のひとつであり,3次元系では密度とポテンシャルを角度方向だけでなく半径方向も直交基底関数系で展開してポアソン方程式を解く方法である。SCF法は,各粒子にはたらく重力が2粒子間の相対座標に依存しないので,定式化において無衝突系を実現している。この方法は,通常のN体計算で必要となる重力ソフトニングが不要で純粋ニュートン力で相互作用を計算できるので,銀河円盤のような回転に支配された冷たい系に...

86th Uchu Forum

長波長非線形揺らぎから探る初期宇宙モデル

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Yuichi Takamizu

University of Tsukuba, theoretical astrophysics group

初期宇宙を起源とする初期密度揺らぎは,宇宙における根源的な「構造の種」であり, これらがやがて銀河や銀河団といった宇宙の大規模構造を形成してきた。近年の衛星技術によって PLANCKやWMAPといった衛星観測が実現し,初期密度揺らぎの精密観測に成功し,多くの重要な観測事実を得ている。 とくに揺らぎの二点相関や三点相関といった量をみることが,初期宇宙の加速膨張を引き起こしているインフレーションモデルを観測から選別すること上で非常に重要となっている。本講演では,そこで重要となる宇宙の地平線スケール...

85th Uchu Forum

色等級図と金属量分布から探る矮小銀河の化学進化

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Hidetomo Honma

NAOJ

矮小銀河は比較的単純な構造をしており,また恒星分離による詳細な観測が可能なため,銀河進化研究の実験室として盛んに研究が行われている。特に近年の大型望遠鏡による観測で,矮小銀河の星の色等級図と金属量分布が測定されてきた。我々の研究グループでは,矮小銀河の色等級図と金属量分布を同時に説明するために,色等級図から導かれる星生成史に従って化学進化を計算し,金属量分布の再現を行うモデルを作成した。このモデルを7つの矮小銀河に適用してそれぞれの化学進化を調べた結果,矮小銀河で合成された重元素の大部分が,星...

84th Uchu Forum

High resolution observations of protoplanetary disks with ALMA ~ Signs of protoplanets in a disk ? ~

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Munetake Momose

Radio astronomy, Ibaraki University

2011年に科学観測を開始して以来,ALMAは近傍の原始惑星系円盤の詳細構造を明かし,一般的な惑星形成過程を探る力強い第一歩を踏み出した。特に,2015年2月に公開されたHL Tauの試験観測画像では,おおよそ3auの解像度で円盤内のリングギャップ構造を捉えた。このトークでは,古典的な太陽系起源論を紹介したのち,HL Tauで見られたリング構造の形成機構について,複数の提案を紹介する。このほか,TW Hyaや遷移円盤など,惑星形成と関連しているかもしれない円盤構造についても簡単にレビューする。...

83rd Uchu Forum

宇宙論的銀河形成シミュレーションで探る遠方銀河の形態獲得プロセスと形成期銀河円盤の力学不安定性解析

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Shigeki Inoue

KAVLI INSTITUTE FOR THE PHYSICS AND MATHEMATICS OF THE UNIVERSE

本講演では,高解像度の宇宙論的銀河形成シミュレーションを用いて得られた新たな知見として,主にふたつの研究結果について紹介したい。 ひとつめは,主に遠方宇宙で観測されるMassive compact galaxyという天体の形成プロセスに関して話す。この銀河は近傍楕円銀河と似た形状を持ちながらも有意に小さなサイズを持っており,dry minor mergerで成長することで現在の楕円銀河に進化するのではないかと議論されている。我々は宇宙論的銀河形成シミュレーションを用いてこうした銀河の形成プロセ...

82nd Uchu Forum

Rotation Curve of M33 Explained by Disc Dark Matter

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Toshio Fukushima

National Astronomical Observatory of Japan (NAOJ)

The existence of the dark matter was inferred from the unexplained rotation curve of spiral galaxies. Unfortunately the spatial distribution of the dark matter is not so well known. Many people assumed it is spherically symmetric. But, is it really so? The darkness of the matter means it has only...

81st Uchu Forum

初代星の最大質量と超巨大ブラックホールの起源

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Takashi Hosokawa

The University of Tokyo Theoretical Astrophysics

最近の観測によりビッグバンから十億年以下のうちに10^9太陽質量を超えるブラックホールが形成されていることが明らかになった。この超巨大ブラックホールが初期宇宙での天体形成の枠組みの中でどのように説明されるか,現在活発に議論が行われている。このとき鍵となるのは,種となるブラックホールの最大質量がいくらか,或いは,ブラックホールを残す星の最大質量がいくらかという問題である。初代星は典型的には数十~百太陽質量の大質量星であると言われる。一方で銀河系では典型質量は太陽程度であるが,ごくまれには太陽の1...

80th Uchu Forum

Water trail from molecular clouds to protoplanetary disks

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Kenji Furuya

University of Tsukuba, Center for Computational Sciences

水は生命にとって不可欠な物質であり,また惑星の表層環境を決める重要な物質である。星・惑星系形成の場である分子雲には, 水がダストを覆う氷として豊富に存在することが分かっている。では,我々の太陽系に存在する水は,母体となった分子雲を起源とするのだろう か?本発表では,分子雲における水氷の形成から原始惑星系円盤への輸送までを,最近の数値モデルの結果に基づいて概観する。また,重水素濃縮 を利用した,モデルの観測的検証法について議論する。 ...

79th Uchu Forum

Gravitational wave event GW150914 - initial masses and merging conditions

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Masayuki Umemura

University of Tsukuba, Center for Computational Sciences

LIGOの観測により重力波が検出され,36M⊙,29M⊙ ブラックホール の合体が起きたことが示された。ブラックホールの合体が直接検出されたことは, 銀河中心に存在する巨大ブラックホールの起源を考える上でも極めて重要である。 我々は,この数年,ガス降着するブラックホールの合体について相対論的N体計算を 行なってきたが,今回の重力波イベントと突き合わせることにより,ブラックホールの 初期質量への制限と,合体条件を導き出すことができたので,その成果について 報告する。また,...

87th Uchu Forum

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SCF法による無衝突恒星系のシミュレーション

Shunsuke Hozumi

University of Shiga

SCF (Self-Consistent Field)法は,無衝突恒星系のシミュレーションを行うN体計算の手法のひとつであり,3次元系では密度とポテンシャルを角度方向だけでなく半径方向も直交基底関数系で展開してポアソン方程式を解く方法である。SCF法は,各粒子にはたらく重力が2粒子間の相対座標に依存しないので,定式化において無衝突系を実現している。この方法は,通常のN体計算で必要となる重力ソフトニングが不要で純粋ニュートン力で相互作用を計算できるので,銀河円盤のような回転に支配された冷たい系に...

March 2017   13 : 30     numerical simulations, self-gravitating systems, and collisionless systems
86th Uchu Forum

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長波長非線形揺らぎから探る初期宇宙モデル

Yuichi Takamizu

University of Tsukuba, theoretical astrophysics group

初期宇宙を起源とする初期密度揺らぎは,宇宙における根源的な「構造の種」であり, これらがやがて銀河や銀河団といった宇宙の大規模構造を形成してきた。近年の衛星技術によって PLANCKやWMAPといった衛星観測が実現し,初期密度揺らぎの精密観測に成功し,多くの重要な観測事実を得ている。 とくに揺らぎの二点相関や三点相関といった量をみることが,初期宇宙の加速膨張を引き起こしているインフレーションモデルを観測から選別すること上で非常に重要となっている。本講演では,そこで重要となる宇宙の地平線スケール...

January 2017   13 : 30     cosmology, inflation, general relativity, and early universe
85th Uchu Forum

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色等級図と金属量分布から探る矮小銀河の化学進化

Hidetomo Honma

NAOJ

矮小銀河は比較的単純な構造をしており,また恒星分離による詳細な観測が可能なため,銀河進化研究の実験室として盛んに研究が行われている。特に近年の大型望遠鏡による観測で,矮小銀河の星の色等級図と金属量分布が測定されてきた。我々の研究グループでは,矮小銀河の色等級図と金属量分布を同時に説明するために,色等級図から導かれる星生成史に従って化学進化を計算し,金属量分布の再現を行うモデルを作成した。このモデルを7つの矮小銀河に適用してそれぞれの化学進化を調べた結果,矮小銀河で合成された重元素の大部分が,星...

December 2016   13 : 30     dwarf galaxies, galaxy evolution, and star formation
84th Uchu Forum

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High resolution observations of protoplanetary disks with ALMA ~ Signs of protoplanets in a disk ? ~

Munetake Momose

Radio astronomy, Ibaraki University

2011年に科学観測を開始して以来,ALMAは近傍の原始惑星系円盤の詳細構造を明かし,一般的な惑星形成過程を探る力強い第一歩を踏み出した。特に,2015年2月に公開されたHL Tauの試験観測画像では,おおよそ3auの解像度で円盤内のリングギャップ構造を捉えた。このトークでは,古典的な太陽系起源論を紹介したのち,HL Tauで見られたリング構造の形成機構について,複数の提案を紹介する。このほか,TW Hyaや遷移円盤など,惑星形成と関連しているかもしれない円盤構造についても簡単にレビューする。...

November 2016   15 : 00     radio observations, ALMA, protoplanetary discs, and exoplanets
83rd Uchu Forum

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宇宙論的銀河形成シミュレーションで探る遠方銀河の形態獲得プロセスと形成期銀河円盤の力学不安定性解析

Shigeki Inoue

KAVLI INSTITUTE FOR THE PHYSICS AND MATHEMATICS OF THE UNIVERSE

本講演では,高解像度の宇宙論的銀河形成シミュレーションを用いて得られた新たな知見として,主にふたつの研究結果について紹介したい。 ひとつめは,主に遠方宇宙で観測されるMassive compact galaxyという天体の形成プロセスに関して話す。この銀河は近傍楕円銀河と似た形状を持ちながらも有意に小さなサイズを持っており,dry minor mergerで成長することで現在の楕円銀河に進化するのではないかと議論されている。我々は宇宙論的銀河形成シミュレーションを用いてこうした銀河の形成プロセ...

October 2016   13 : 30     numerical simulations, cosmology, galactic disk, galaxy formation, and high-z galaxies
82nd Uchu Forum

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Rotation Curve of M33 Explained by Disc Dark Matter

Toshio Fukushima

National Astronomical Observatory of Japan (NAOJ)

The existence of the dark matter was inferred from the unexplained rotation curve of spiral galaxies. Unfortunately the spatial distribution of the dark matter is not so well known. Many people assumed it is spherically symmetric. But, is it really so? The darkness of the matter means it has only...

July 2016   15 : 00     numerical simulations, observations, M33, galactic disk, and dark matter
81st Uchu Forum

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初代星の最大質量と超巨大ブラックホールの起源

Takashi Hosokawa

The University of Tokyo Theoretical Astrophysics

最近の観測によりビッグバンから十億年以下のうちに10^9太陽質量を超えるブラックホールが形成されていることが明らかになった。この超巨大ブラックホールが初期宇宙での天体形成の枠組みの中でどのように説明されるか,現在活発に議論が行われている。このとき鍵となるのは,種となるブラックホールの最大質量がいくらか,或いは,ブラックホールを残す星の最大質量がいくらかという問題である。初代星は典型的には数十~百太陽質量の大質量星であると言われる。一方で銀河系では典型質量は太陽程度であるが,ごくまれには太陽の1...

June 2016   13 : 30     first stars, SMBH, and numerical simulations
80th Uchu Forum

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Water trail from molecular clouds to protoplanetary disks

Kenji Furuya

University of Tsukuba, Center for Computational Sciences

水は生命にとって不可欠な物質であり,また惑星の表層環境を決める重要な物質である。星・惑星系形成の場である分子雲には, 水がダストを覆う氷として豊富に存在することが分かっている。では,我々の太陽系に存在する水は,母体となった分子雲を起源とするのだろう か?本発表では,分子雲における水氷の形成から原始惑星系円盤への輸送までを,最近の数値モデルの結果に基づいて概観する。また,重水素濃縮 を利用した,モデルの観測的検証法について議論する。 ...

May 2016   13 : 30     numerical simulations, molecular clouds, protostellar discs, and chemodynamics
79th Uchu Forum

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Gravitational wave event GW150914 - initial masses and merging conditions

Masayuki Umemura

University of Tsukuba, Center for Computational Sciences

LIGOの観測により重力波が検出され,36M⊙,29M⊙ ブラックホール の合体が起きたことが示された。ブラックホールの合体が直接検出されたことは, 銀河中心に存在する巨大ブラックホールの起源を考える上でも極めて重要である。 我々は,この数年,ガス降着するブラックホールの合体について相対論的N体計算を 行なってきたが,今回の重力波イベントと突き合わせることにより,ブラックホールの 初期質量への制限と,合体条件を導き出すことができたので,その成果について 報告する。また,...

April 2016   13 : 30     SMBH, SMBH binaries, SMBH mergers, gravitational waves, observations, N-body simulations, and numerical simulations

87th Uchu Forum SCF法による無衝突恒星系のシミュレーション

Shunsuke Hozumi (University of Shiga)
March 2017   13 : 30     numerical simulations, self-gravitating systems, and collisionless systems

86th Uchu Forum 長波長非線形揺らぎから探る初期宇宙モデル

Yuichi Takamizu (University of Tsukuba, theoretical astrophysics group)
January 2017   13 : 30     cosmology, inflation, general relativity, and early universe

85th Uchu Forum 色等級図と金属量分布から探る矮小銀河の化学進化

Hidetomo Honma (NAOJ)
December 2016   13 : 30     dwarf galaxies, galaxy evolution, and star formation

84th Uchu Forum High resolution observations of protoplanetary disks with ALMA ~ Signs of protoplanets in a disk ? ~

Munetake Momose (Radio astronomy, Ibaraki University)
November 2016   15 : 00     radio observations, ALMA, protoplanetary discs, and exoplanets

83rd Uchu Forum 宇宙論的銀河形成シミュレーションで探る遠方銀河の形態獲得プロセスと形成期銀河円盤の力学不安定性解析

Shigeki Inoue (KAVLI INSTITUTE FOR THE PHYSICS AND MATHEMATICS OF THE UNIVERSE)
October 2016   13 : 30     numerical simulations, cosmology, galactic disk, galaxy formation, and high-z galaxies

82nd Uchu Forum Rotation Curve of M33 Explained by Disc Dark Matter

Toshio Fukushima (National Astronomical Observatory of Japan (NAOJ))
July 2016   15 : 00     numerical simulations, observations, M33, galactic disk, and dark matter

81st Uchu Forum 初代星の最大質量と超巨大ブラックホールの起源

Takashi Hosokawa (The University of Tokyo Theoretical Astrophysics)
June 2016   13 : 30     first stars, SMBH, and numerical simulations

80th Uchu Forum Water trail from molecular clouds to protoplanetary disks

Kenji Furuya (University of Tsukuba, Center for Computational Sciences)
May 2016   13 : 30     numerical simulations, molecular clouds, protostellar discs, and chemodynamics

79th Uchu Forum Gravitational wave event GW150914 - initial masses and merging conditions

Masayuki Umemura (University of Tsukuba, Center for Computational Sciences)
April 2016   13 : 30     SMBH, SMBH binaries, SMBH mergers, gravitational waves, observations, N-body simulations, and numerical simulations
  1. SCF法による無衝突恒星系のシミュレーション, Shunsuke Hozumi (University of Shiga)   March 2017  
  2. 長波長非線形揺らぎから探る初期宇宙モデル, Yuichi Takamizu (University of Tsukuba, theoretical astrophysics group)   January 2017  
  3. 色等級図と金属量分布から探る矮小銀河の化学進化, Hidetomo Honma (NAOJ)   December 2016  
  4. High resolution observations of protoplanetary disks with ALMA ~ Signs of protoplanets in a disk ? ~, Munetake Momose (Radio astronomy, Ibaraki University)   November 2016  
  5. 宇宙論的銀河形成シミュレーションで探る遠方銀河の形態獲得プロセスと形成期銀河円盤の力学不安定性解析, Shigeki Inoue (KAVLI INSTITUTE FOR THE PHYSICS AND MATHEMATICS OF THE UNIVERSE)   October 2016  
  6. Rotation Curve of M33 Explained by Disc Dark Matter, Toshio Fukushima (National Astronomical Observatory of Japan (NAOJ))   July 2016  
  7. 初代星の最大質量と超巨大ブラックホールの起源, Takashi Hosokawa (The University of Tokyo Theoretical Astrophysics)   June 2016  
  8. Water trail from molecular clouds to protoplanetary disks, Kenji Furuya (University of Tsukuba, Center for Computational Sciences)   May 2016  
  9. Gravitational wave event GW150914 - initial masses and merging conditions, Masayuki Umemura (University of Tsukuba, Center for Computational Sciences)   April 2016