40th Uchu Forum
超新星の爆発機構に関して,天体物理学者は50年も頭を悩ませている。
現状,もっとも有力なシナリオはニュートリノ加熱による衝撃波の復活で, ここ10年計算資源の増大とともに多くの発見がなされてきた。 2000年代前半にはニュートリノの輻射輸送を星を球対称1次元だと仮定して解き, 非常に軽い星を除いて爆発しないという結論を得た。 2000年代後半には2次元軸対称の計算で新たに見つかった 降着衝撃波不安定性により衝撃波が揺れ動き,ニュートリノ加熱効率がよくなることで 爆発する例が盛んに報告されている(e.g. Murphy & Burrows 2008, Marek & Janka 2009)。
しかし,まだ問題は解決してない。 対流や不安定性の計算は2次元と3次元で様相が異なることはよく知られている。 やはり自然な3次元計算を行うべきであろう。 Nordhaus et al. 2010では2次元軸対称計算より, 3次元計算のほうがより爆発しやすいという結果が報告され, この問題は解決に向かうかと思われたが, Hanke et al.により反論も提出され,混迷した状況である。
我々はニュートリノ輸送も3次元流体計算もどちらも手を抜かずに解くという方針で, この問題に挑んでおり,世界でも一歩進んだ研究となっている。 今回はT2K筑波や京コンピュータを用いた最新の結果を紹介する。