研究プロジェクト

輻射流体力学計算によるブラックホール降着流および噴出流の構造とダイナミクスの研究

本プロジェクトでは,ブラックホール降着円盤の構造とダイナミクス,ブラックホールジェットを始めとするガス噴出流の形成メカニズムの解明を目指します。ブラックホール降着円盤や噴出流の物理を理解することは,活動銀河核やX線連星,ガンマ線バーストといった高エネルギー天体のエネルギー生成機構の解明に直結します。また,巨大ブラックホールの成長過程解明の根幹でもあります。

ブラックホールの重力に捉えられた物質は,ブラックホールを取り囲む回転円盤(降着円盤)を形成します。円盤の内部では,ブラックホールへ落下する物質の重力エネルギーが,熱エネルギーや磁場エネルギー,光(輻射)のエネルギーへと変換されます。大量の高エネルギー光子が生成されるため,ブラックホール降着円盤は宇宙で最も明るい天体の一つとなります。また,増幅された磁場や輻射場によって一部の物質が加速されることで,ブラックホールジェットや円盤風が生じます。ジェットや円盤風は周囲の物質にエネルギーや運動量を与え,天体形成に大きな影響を及ぼします。

こうした複雑で非定常な現象を解明するには,ブラックホールが作り出す強重力場中において,電磁流体力学方程式と輻射輸送方程式を同時に矛盾なく解かなければなりません。これは極めて難解な計算のため,世界でも限られた研究グループだけが成功しています。輻射流体力学計算や一般相対論的輻射磁気流体力学シミュレーションを駆使し,ブラックホール降着円盤の構造およびジェットや円盤風のダイナミクスを解明します。

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図 1  一般相対論的輻射磁気流体力学シミュレーションによるブラックホール降着円盤,および上下に伸びる二本のジェット。細い線は磁力線。(Takahashi et al. 2016)



参考文献・リンク

  1. 大須賀グループの研究テーマ