私達は、一般相対論を組み込んだ世界最高水準の流体シミュレーションと 放射輸送シミュレーションを基盤とし、 AIやGPUなどの最先端技術も統合しつつ、ブラックホールの形成・進化、 降着円盤やジェットの謎に挑むグループです。
■ブラックホール降着円盤の構造と放射特性
ブラックホールに落ち込むガスは円盤状の構造(降着円盤)を形成し、重力エネルギーをもとに強力な光を放出すると考えられています。
しかし、降着円盤の内部構造や放射が実際にどのように生み出されるのかは、まだ十分に理解されていません。
私たちは一般相対論を組み込んだシミュレーションにより、円盤構造と放射特性の物理を明らかにします。
■ブラックホールジェット・降着円盤風の形成機構
ブラックホール近傍では、光速に近い速度で噴き出す細いジェットや、より広がった円盤風が観測されています。
これらは銀河全体の進化にも影響する重要な現象です。
私たちは、物質と放射場・磁場との相互作用がどのようにこれらの噴出流を生み出すのかに注目し、その形成機構を理論とシミュレーションの両面から探究しています。
■巨大ブラックホールの成長過程の理解
宇宙初期には、すでに巨大ブラックホールが存在していたことが近年の観測から明らかになってきました。
しかし、限られた時間内にどのような経路でそこまで成長し得たのかは、まだ解明されていません。
私たちは、形成途上の銀河の中でブラックホールがどのようにガスを取り込み、成長していくのかを再現する数値シミュレーションを行い、巨大ブラックホールが効率よく成長する条件を探っています。
■ブラックホールの自転が生み出す物理現象
自転しているブラックホールからはエネルギーが抽出されうると考えられており、これが相対論的ジェットを駆動する可能性があります。
また、自転による慣性系の引きずりは、降着円盤やジェットを揺り動かす効果も生み出します。
私たちは、自転が生み出すこれらの現象を、一般相対論を組み込んだシミュレーションにより再現し、観測との対応を探っています。
■AIやGPUを駆使した研究法の開発
ブラックホール周辺の放射場を正確に扱うには膨大な計算コストが必要で、1度の実行で数ヶ月を要することもあります。
私たちは、放射場の振る舞いを AI で近似する手法を導入し、計算を劇的に高速化することに挑んでいます。
さらに GPU を活用したコード最適化も進め、極めて大規模な計算を「現実的な時間」で実現できる環境を整えています。
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大変だけど、楽しい。そんな研究室です。
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