研究プロジェクト

宇宙物理研究

原始銀河団領域における銀河進化の多様性の起源

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本プロジェクトでは,宇宙大規模構造における銀河進化メカニズムの解明を目指しています。近年の大規模な観測によって,遙か遠方の銀河が数多く観測されるようになりました。それにより,初期宇宙において銀河が密集している原始銀河団領域が相次いで発見されるとともに,超巨大ブラックホールを持つ銀河,塵に覆われた爆発的星形成銀河,紫外線で大きな広がりを持つ銀河など多種多様な銀河進化の様子が報告されています。しかしながら,これら多様な銀河の進化メカニズムは未だ分かっていません。そして,原始銀河団領域のような銀河の密...

輻射流体力学計算によるブラックホール降着流および噴出流の構造とダイナミクスの研究

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本プロジェクトでは,ブラックホール降着円盤の構造とダイナミクス,ブラックホールジェットを始めとするガス噴出流の形成メカニズムの解明を目指します。ブラックホール降着円盤や噴出流の物理を理解することは,活動銀河核やX線連星,ガンマ線バーストといった高エネルギー天体のエネルギー生成機構の解明に直結します。また,巨大ブラックホールの成長過程解明の根幹でもあります。 ブラックホールの重力に捉えられた物質は,ブラックホールを取り囲む回転円盤(降着円盤)を形成します。円盤の内部では,ブラックホールへ落下する...

理論と観測の直接比較によるブラックホール時空および高エネルギー現象の研究

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ブラックホール降着円盤やジェット、円盤風はどう観測されるのか?観測結果を説明できるのか?理論と観測の比較によって、ブラックホールの時空構造および強重力場中の高エネルギー現象を解明するのが本プロジェクトの目的です。 理論計算によって構築されたモデルは、観測結果を再現することではじめて認められます。一方、観測データは理論計算との比較によって、はじめてその意味するところが判明します。理論と観測の直接比較は、天文学の発展において必要不可欠なものなのです。巨大ブラックホールの撮像に成功したイベントホライ...



HPC プロジェクト

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コード開発

一般相対論的多波長輻射輸送計算コードの開発

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ブラックホール観測によって得られると予想される輻射スペクトルや波長ごとの撮像イメージを、理論的に作り出すのが一般相対論的輻射輸送(GR-RT)計算です。GR-RT計算は、理論モデルと観測データの直接比較において、また、観測結果の物理的解釈において極めて重要な研究となっています。多波長GR-RT計算コードRAIKOUは、ブラックホール周囲の光の伝搬を極めて高精度に解くことが可能であり、ブラックホールシャドウの計算が可能です。実際、イベントホライズンテレスコープによるM87の巨大ブラックホールの観測...

一般相対論的輻射磁気流体力学計算コードの開発

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ブラックホール周囲のガスダイナミクスを解き明かすためには、一般相対性理論、電磁流体力学、輻射輸送をすべて組み込んだ計算、即ち一般相対論的輻射磁気流体力学(GR-RMHD)計算が必要です。GR-RMHDは物理素過程が難解なだけでなく、計算量が膨大であるため、スーパーコンピュータを用いて数値的に解くしか手段がありません。そのような背景のもと、世界に先駆けてGR-RMHDのシミュレーションコードを開発・発展させています。2015年に稼働開始したGR-RMHDコード、UWABAMI、は高光度ブラックホー...



宇宙生命計算科学

星形成領域の円偏光場生成メカニズムの研究

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本プロジェクトでは,星形成領域での円偏光場の生成について輻射輸送計算を用いて研究しています。近年の観測によって円偏光割合が10%を超える星形成領域が複数発見されています。キラルを持つアミノ酸が強い円偏光に晒されると,アミノ酸の持つ円二色性によってL/D体の割合に偏りが生じる可能性があります。このような過程は生体アミノ酸のホモキラリティーの問題を通して,我々生命の起源に関係している可能性があります。星形成領域の円偏光の起源としては,星の光と固体微粒子ダストとの散乱過程が考えられていますが詳細は不明...

ナヴィエ・ストークス方程式の直接数値計算と原始惑星系円盤乱流中のダスト成長の研究

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ダスト粒子の合体成長は,微惑星形成にとって不可欠なプロセスであるが,1)ダストが合体成長する前に中心星に落ちる(中心星落下問題),2)衝突の際に付着せずに破壊を起こしてしまう(衝突破壊問題)という困難があり,これらはまだ解決されていない。特に,地球のような岩石惑星の元となるシリケイト・ダストは,限界付着速度が低いため衝突破壊問題が深刻である。原始惑星系円盤内でのダスト粒子の衝突速度は,円盤内の乱流によって決まっているため,乱流によるダスト粒子のクラスタリング(図1)を正しく取り扱う必要がある。そ...

星間空間におけるアミノ酸生成過程

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マーチソン隕石内のアミノ酸を含む様々な有機分子の発見を皮切りに,星間空間におけるキラル分子の初観測など,現在宇宙空間における生命起源物質に関わる発見が続々と報告されています。アミノ酸には化学的性質が同等なL体(左手型)とD体(右手型)がありますが,地球上の生命体のアミノ酸は99%以上がL体であり,ホモキラリティーと呼ばれ,その起源は謎になっています。マーチソン隕石などで見つかったアミノ酸はL体が過剰にあることが報告されています。これらから,生命の起源となる有機分子が星間空間で形成され,隕石によっ...



計算メディカルサイエンス

赤外線生体医療診断の実現に向けた輻射輸送計算コードの開発

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本プロジェクトでは、宇宙分野での輻射輸送計算の実績を活かし、近赤外線を用いた生体医療診断の実現に向けて高速かつ高精度な輻射輸送計算コードの開発を行っています。現在医療現場では、X線レントゲン、MRI、PETなどさまざまな方法で画像診断が行われています。しかしながら、これらは被曝や造影剤による副作用などリスクが伴う事が知られています。これらのリスクを一切伴わない新たな医療診断技術として、波長800-1100ナノメートル程度の近赤外線を用いた拡散光トモグラフィーという診断法が提案されています。この波...



過去のプロジェクト

超巨大ブラックホールジェットや銀河風による星間乱流

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AGNフィードバックの新しいパラダイム 銀河とその中心に存在する超巨大ブラックホールは共進化することが知られているが,どのようにして共進化するのかはまだほとんどわかっていない。ブラックホールは,相対論的なジェットや銀河風,輻射圧によってガスを排出することで,銀河の星形成を制御していると考えられている。しかし,星形成が止まっている大質量銀河の最近の観測では,ガスの流出による星形成の停止ではなく,乱流的なガスの動きが見られる天体が見つかってきた。 我々は,共進化に寄与する銀河形成の新しいパラダイ...

多重ブラックホール合体と超巨大ブラックホール形成の研究

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2016年以降,aLIGO+aVIRGOによる重力波観測により,50を超えるブラックホール合体イベントが報告されている。このうち大部分は,$10 M_\odot$($M_\odot$は太陽質量)以上の大質量ブラックホール・ペアの合体である。ブラックホール合体の理論は,連星の進化の結果としてできた連ブラックホールが合体するというシナリオがこれまで中心的であった。連星進化の理論に従うと,連ブラックホールのスピン軸は潮汐力の効果により同じ方向を向くことになるが,ほとんどのイベントで,スピン軸が揃ってい...