Theoretical Astrophysics Seminars

10th Seminar

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The other dynamical friction: Supression of dynamical friction by the core structure of a halo

Shigeki Inoue

Tohoku University


Abstract

構造形成N体シミュレーションによって,銀河中の暗黒物質構造は,NFWプロファイルのようなカスプ構造であるということが示された。しかし,実際の観測はむしろ中心部で密度が一定なコア構造を支持している。(カスプ-コア問題) このカスプ-コア問題において,コア構造ハローを支持する事例として,矮小銀河中の球状星団の存在が挙げられる。矮小銀河中ではdynamical frictionによって球状星団が存在できないはずであるが,今もなお存在が多数確認されているという事実である。これに対して,ハローがコア構造であればdynamical friction が抑制されるという事が提唱されている。しかし,なぜコア構造であれば dynamical frictionが効かないのかは解明されていない。本研究ではN体シミュレーションを用いて,コア構造中で働くdynamical frictionについて詳細な研究を行った。結果として,2つの事が得られた。1)ハローの形状によらず,実際のdynamical frictionは二つの成分に分けられる。一つは従来通りのチャンドラセカール的なdynamical frictionであり,もう一つは少数の粒子による共鳴的なdynamical frictionである。また両者の寄与は同程度である。2)コア構造中では,共鳴的なdynamical frictionの挙動が変化し,エネルギーを与える方向に働く。これにより,チャンドラセカール的なdynamical friction を相殺している。

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