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研究

研究内容

超臨界中性子星降着流の一般相対論的輻射磁気流体力学計算
キーワード : 中性子星, 磁気流体力学, 超臨界降着, 相対論
共同研究者 : 大須賀健(筑波大), 高橋博之(駒澤大), 朝比奈雄太(筑波大)

研究概要
超高光度X線パルサーの正体と考えられている中性子星は強力な重力場と磁場を作り出す。 さらに中性子星周囲では、ガス降着によって強力な輻射場が生成される。 そのため中性子星周囲の降着現象を解明するためにはこれら全ての効果を考慮した一般相対論的輻射磁気流体力学計算を行う必要がある。 高橋らは世界で初めて磁化した中性子星に対して一般相対論的輻射磁気流体力学計算を実施した。 しかしながら中性子星への超臨界降着のシミュレーションの研究は始まったばかりであり、 多様なULXパルサーの諸現象を解明するためにはパラメータスタディが必要である。 そこで、高橋らが独自に開発した一般相対論的輻射磁気流体力学シミュレーションコード(UWABAMI)を使用し、 中性子星降着流の研究を行っている。

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ガス密度(左)と輻射エネルギー(右)

中性子星が作り出す強力な双極子磁場によって降着円盤のガスが切り取られ中性子星の磁極付近に柱状の降着流を形成している。 この円盤ガスが切り取られる半径(磁気圏半径)は中性子星の磁場強度と質量降着率に依存する。 本研究では、中性子星の磁場強度、ガスの質量降着率を変化させながら磁気圏半径や、 その他の降着構造を調査している。


中性子星への超臨界降着柱モデルによる超高光度X線源のX線パルス計算
キーワード : 中性子星, 磁気流体力学, 超臨界降着, 相対論
共同研究者 : 大須賀健(筑波大), 川島朋尚(国立天文台)

研究概要
超高光度X線源(Ultra-Luminous X-Ray Source;ULX)とは,X線光度が恒星質量ブラックホールのエディントン光度を超えている非常に明るいX線源である。 ULXの中心天体として、恒星質量ブラックホールと中間質量ブラックホールが考えられていたが、近年、パルスが検出されたことによって,一部のULX の正体が 中性子星であることが明らかになった。中性子星の質量は太陽と同程度なので、ULXの大光度を説明するためには超臨界降着(エディントン降着率を超える降着) が必須である。そこで我々は、川島らによって提案された超臨界降着柱モデルを用いてX線パルスの研究を行った。

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超臨界降着柱のImaging(左)とLight Curve(右)

ここでは磁軸と自転軸のなす角を10°、観測者の見込み角(観測者と自転軸のなす角)を60°としている。 降着柱内部で発生する衝撃波により中性子星近傍部分のガス温度が高くなり、降着柱の根元部分の放射が強まる。 相対論的ドップラー効果の影響で奥の降着柱が明るく輝いて見え、さらに重力レンズの効果により 奥の降着柱が広がって見える。中性子星が自転することによって観測する光度が変化する。 Light Curveは観測者が実際に観測する見かけの光度で、赤色の点はImagingの位相と対応している。