生体システム(生命)の理論的解明


 生命は高分子(物質)で構成されているにもかかわらず、自己増殖機能や意識(思考)といった極めて高度で驚異的な機能を持っています。また、多くの生命現象では、未だ立体構造や機能が分かっていない場合や、非常に効率的な化学反応が存在するため、その仕組みの解明が現在非常に注目されています。

 我々はその神秘的な生体システムを科学的に解明することを目的とし、生体分子の機能発現機構の理論的解明を行っています。また、生命現象の動作原理を解明することのみならず、様々な応用分野: 化学合成、創薬、医療への展開も目指しています。

 生体分子は多自由度複雑系であるため、理論解析(分子動力学計算、量子力学計算)を行うには膨大な計算量が必要となるなど、多くの難問が潜んでいます。しかしながら、計算科学研究センター(CCS)の所有するスーパーコンピュータを利用することで、リアリステックな計算機シミュレーションを行い、生体内の蛋白質の動的挙動や化学反応をより正確に解明(予言)することに励んでいます。

 我々は生体内で特に重要な働きをしている蛋白質、核酸に注目し、生物実験グループと連携して研究を進めています。それにより、生命科学を劇的に進展させ、生命の根本原理を探求しています。



現在の研究テーマ



生体酵素における反応機構の理論的解析




重要な生体内酵素反応について量子力学/古典力学混合(QM/MM)法を用いて理論的解明を行っています。


生命の起源を探る (Origin of Life)



アミノ酸は、主要な生体構成要素分子ですが、鏡像異性体であり、L型とD型という鏡合わせにした二つの立体構造を取り得ます。実験室での化学合成では、L型とD型はそれぞれ等量生成されるにもかかわらず、地球上生命はほぼ100%L型で形造られています(ホモキラリティ)。我々はL型生成の起源を理論的に解明する研究を行っています。


異常型プリオンの立体構造予測



プリオンとは哺乳類で発見されたタンパク質性の感染因子のことです。正常な立体構造とは異なる立体構造タンパク質(プリオン)が、正常型タンパク質を次々と異常型に転換、凝集していくことで、線維構造(アミロイド線維)を形成します。この線維は生体内に蓄積すると細胞死を引き起こし、様々な神経性疾患(狂牛病やヤコブ病)の引き金となります。しかしながら、感染機構や異常型タンパク質の立体構造は未だ明らかにされていません。我々はプリオンモデルを作成し、計算機シミュレーションによってプリオン構造の本質について研究を行っています。




発表リスト (庄司関連の業績リストです。)


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