

私の研究チームでは、宇宙物理学と計算科学の分野、あるいはその融合分野で幅広い研究が行われています。
宇宙物理学分野では、ダークマターによる構造形成、銀河の形成や進化、銀河衝突と巨大ブラックホールの活動性、銀河風の物理的性質の研究などがあります。
最近では、Galactic Habitable Zone と呼ばれる銀河における生命生存可能領域についての研究も始めました。
研究手法としては、数値シミュレーションを使った研究テーマが多いですが、シミュレーションを行わず解析的な手法だけの研究も行っています。
計算科学分野の研究としては、高精度流体力学スキームの開発や、超並列計算アルゴリズムの開発、GPUを活用した計算加速アルゴリズム開発、最近では機械学習を宇宙物理学に応用する研究も開始しました。
また、共同研究では、国内のみならずドイツ、オーストリアやイタリア、米国などの研究者と理論と観測の融合研究を積極的に推進しています。
宇宙物理学を学ぶには、力学・電磁気学・量子力学・統計力学といった基礎知識と、相対性理論、流体力学、放射過程等の専門知識、計算物理学や統計学といった計算分析スキルを身につけると理解が進みます。
私のチームでは、こうした知識を土台として宇宙物理学研究に取り組む多くの学生を受け入れています。
また、意欲ある学生には、学年や所属に関係なく研究指導を行ったり、性別や出身にかかわらず多様な背景を持つ学生が安心して学び、主体的に研究に取り組める環境づくりにも力を注いでいます。
大学院進学希望の方には、例年7月の推薦入試、8月と2月の一般入試と、年間3回実施されており、他大学からの進学者も積極的に受け入れています。
博士前期課程では研究に必要な知識とスキルを修得し、博士後期課程では自立した研究推進能力を育成します。
国際会議発表や海外研究機関への滞在などの機会も充実しています。
特に博士後期課程では、デュアルディグリープログラム、日本学術振興会特別研究員制度、学内外の各種支援制度等、研究のみならず経済面やキャリア形成の支援が充実しています。
我々の研究活動に関心をお持ちの方は、まずはお気軽にメールにてお問合せ下さい。
筑波大学 森正夫
mmori@ccs.tsukuba.ac.jp
「我々の住む宇宙はどのように始まり、どのようにして今日の宇宙が出来上がったのだろうか。」これは人類の歴史が始まったころからの根源的な問いかけに他なりません。そして、このようなことを物理学の立場で研究する分野が宇宙論であり宇宙物理学です。ジョージ・ガモフによって提示されたビッグバン理論を始点とする現代宇宙論は、観測によってその精度を高めながら発展してきました。我々の住む宇宙は今から138億年前に火の玉状態(ビッグバン)で誕生し、膨張する宇宙の中で様々な天体が誕生・進化することで、今日のような宇宙を構成するに至ったと考えられています。
私たちは、こうした宇宙の壮大な進化の歴史と未来像を、自然科学の手法によって紐解いていくことを目指しています。銀河の形成や進化、ブラックホールやダークマターの役割、そして生命誕生の舞台となる銀河環境の理解など、私たちの研究は宇宙における「なぜここに私たちが存在するのか」という問いに迫る試みでもあります。
私のチームの研究活動、論文や学会での発表、メディア掲載などの最新情報を紹介しています。また、研究だけでなく、チームの交流を深めるイベントや活動の様子も随時お伝えしています。
2025.5.25-30 | 大阪大学中之島センターにて行われた国際会議「The International Workshop on Galaxy Formation + AGORA in Asia 2025」にて、金田優香(D3)さんが”Split stellar streams as a detector of dark satellites and wandering black holes”の研究成果発表を行いました。 |
2025.5.24 | 山口未沙(D1)さん、桐原崇亘(北見工大)さん、三木洋平(東京大)さん、小上樹(国立天文台)さん、千葉柾司(東北大)さん、小宮山裕(法政大)さん、田中幹人(法政大)さんとの共著論文"Simultaneous Formation of the Andromeda Giant Southern Stream and the Substructures in the Andromeda Halo"がPASJ誌に掲載されました。
[PASJ] |
2025.5.14-16 | 筑波大学にて行われた「Bigdata Astronomy 2025」にて、金田優香(D3)さんが”CNNを用いた潮汐ストリームによるダークマターハローの密度分布推定”、山口未沙(D1)さんが”Simultaneous Formation of the Four Substructures in the Andromeda Halo”の研究成果発表を行いました。 |
2025.5.11 | 毎年恒例の筑波大学宇宙理論・観測研究室合同BBQが「ゆかりの森」で開催されました。 |
2025.4.28 | 紙と鉛筆で行う解析的な研究に挑戦してくれる学生が久しぶりに表れました。シミュレーションのような派手さはありませんが、着実に成果が出たときの達成感は格別なものになるでしょう。今後の展開がとても楽しみです。 |
2025.4.21 | 新入生の研究課題がすべて決まりました。私のチームでは、学生が興味を持っている研究と実際にできる研究を納得いくまでじっくり話し合い、研究テーマを決定します。 |
2025.4.1 | 新年度が始まり、大学院博士前期課程1年生として、相本幹太さん、小田麻由花さん、篠﨑倫さん、高橋良朋さん、髙山暁史さんを、卒研生として、有馬鞠杏さん、野村泰成さん、萩原健太さんを、我々のチームに迎え入れることになりました。 |
私のチームメンバーを、現在のメンバーと卒業生に分けて紹介します。 特に、私のチームでは大学院博士前期課程のみならず後期課程進学者の研究支援及びキャリアパスの充実を推進しています。
金田優香 | (D3 & M2) | 日本学術振興会特別研究員DC1・デュアルディグリープログラム |
コールドダークマター仮説における諸問題への挑戦(D3: 博士(理学)課程研究) | ||
機械学習によるStellar Streamの構造解析(M2: 修士(工学)課程研究) | ||
山口未沙 | (D1) | 銀河衝突とGalactic Habitable Zoneの時空間進化 |
竹内大晟 | (M2) | M81銀河群における星団形成と暗黒物質 |
開紘大郎 | (M2:教育学位プログラム) | 粒子シミュレーションと可視化 |
相本幹太 | (M1) | 衛星銀河と銀河円盤の衝突における流体力学相互作用 |
小田麻由花 | (M1) | 宇宙論的シミュレーションによる銀河団スケールのダークマターハロー |
篠﨑倫 | (M1) | ダークマターハローのカスプコア遷移における臨界条件 |
高橋良朋 | (M1) | 銀河形成・進化シミュレーションと高精度シミュレーションコードの開発 |
高山暁史 | (M1) | 銀河衝突と超巨大ブラックホールの活動性 |
有馬鞠杏 | (B4) | 高赤方偏移銀河の銀河風解析 |
野村泰成 | (B4) | アンドロメダ銀河におけるParallel Stellar Streamの形成過程 |
萩原健太 | (B4) | 流体力学シミュレーションを用いたスポーツ科学の研究 |
最近の研究論文と、特に代表的な論文、および研究費の獲得状況をリストアップします。