つくば宇宙理論セミナー

第44

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ブラックホール降着流の状態遷移と時間変動

松元 亮治 氏

千葉大学


要旨
ブラックホール候補天体では硬X線が強い状態と軟X線が強い状態間の遷移が観測される。状態遷移中には準周期振動やジェットの噴出が観測され,ブラックホール降着流が激しい活動性を示す。私たちのグループでは3次元磁気流体・輻射磁気流体シミュレーションによって,円盤表面密度の増加に伴って,硬X線を放射する高温降着流が冷えて軟X線放射領域が形成される過程を調べてきた。その結果,この遷移中に方位角磁場によって支えられた磁気圧優勢な降着円盤が形成されること,さらに降着率が増加すると輻射圧優勢になり,動径振動が励起されることを見出した。磁気圧優勢領域に蓄積された磁気エネルギーが解放されると強いジェットが噴出する。活動銀河中心核の場合,磁気圧優勢領域の温度は0.1-1KeVになり,広輝線が観測されない状態と観測される状態の間を遷移する Changing Look 活動銀河の増光時の軟X線強度の増加を説明することができる。銀河中心ブラックホールに接近する星やガス雲の潮汐破壊に伴う降着流の状態遷移と時間変動についても,シミュレーション結果を交えて議論する。 Image