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平下 博之氏(筑波大学 宇宙理論物理研究室)
「銀河の遠赤外スペクトルの特徴」

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銀河は概して可視と同じくらいのエネルギーを遠赤外域で
放射している。つまり、可視では銀河の輻射エネルギーの
半分しか見ておらず、銀河の輻射エネルギーの全貌を
つかむためには遠赤外でも銀河を見る必要がある。
遠赤外放射源は星間ダストであると考えられており、ダストは
星からの光を吸収して加熱され、遠赤外域で熱放射していると
いう遠赤外放射過程が一般に考えられている。また、ダストの
放射特性(吸収係数の波長依存性)も、Draine & Lee (1984)の
もの(もしくはそのマイナーな改訂版)が標準的なモデルとして
多くの研究者に受け入れられてきた。
しかしながら、実は、天の川銀河の遠赤外スペクトルでさえも、
現在の「遠赤外標準モデル」では説明できないことが
最近の解析(Hibi et al. 2006)によって明らかになった。
これは、ダストの構成物質はおろか、遠赤外放射特性さえも
我々はまだ知らないことを意味する。本講演では、
Hibi et al. (2006)の解析を様々な方面から検討し、遠赤外
スペクトルモデルを用いた理論的解析も加えることで得られた、
ダストの遠赤外放射特性に関する新たな知見を報告する。
と同時に、この放射特性は、系外銀河の遠赤外スペクトルをも
統一的に説明できることも明らかになった。

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