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長谷川 賢二 氏(筑波大学 宇宙理論研究室)
「Pop III starからの紫外線フィードバックについて 」

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Pop IIIは大質量(数10~1000太陽質量)であったと考えられている。このような
星からは大量の紫外線が放射され、光電離や水素分子の光解離などの効果によっ
て後に続く星形成に大きな影響を与えたと考えられる。近年、Susa & Umemura
(2006)の三次元輻射流体シミュレーションによってPop III(120太陽質量)周辺
での星形成は可能である事が示された。これは、電離波面において水素分子の
シェルが形成され、解離光子がこの水素分子シェルによって効率よく遮蔽される
為である。しかし、放射源がより低質量であった場合は、放射される電離光子数
に対して解離光子数の割合が増えるため、解離の効果がより重要になってくるこ
とが期待される。このような問題に対して、我々は三次元輻射流体シミュレー
ションを行うことで検証を行った。その結果、放射源がおよそ40太陽質量以下の
場合では解離の効果が支配的になり、電離光子が解離による負のフィードバック
を抑制できなくなる事を明らかにした。さらに我々は、Pop III starからの紫外
線フィードバックの近傍雲の温度や質量に対する依存性についても調査しフィー
ドバックの効き方がこれらの物理量に強く依存する事も明らかにした。
講演では、シミュレーション結果をお見せするとともに、Pop III star近傍の雲
のコラプスがどのような物理条件で決まっているかを詳細に解説する。さらに今
後の研究予定についても述べるつもりである。

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