つくば宇宙理論セミナー

第29

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乱流と磁場で支えられたフィラメント状分子雲で形成された暴走的に収縮する分子雲コアおよび「原始的分子雲コア」の発見

古屋 玲 氏

徳島大学


要旨

星形成の舞台である分子雲コアの形成過程を探るには,星を生む原材料物質である高密度ガスの物理状態を知るだけではなく,その周囲の希薄ガスの速度構造と密度構造も明らかにする必要がある。分子雲コアの成因を知ることは,分子雲コアが重力収縮する際の初期条件および境界条件を明らかにすることと言い換えてもよい。談話会では,乱流圧と磁気圧で支えられたフィラメント状分子雲において自由落下時間程度で局所的に乱流が散逸した結果,(i)重力的に不安定なコアが形成され,それが(ii)コアの暴走的な収縮を引き起こし,原始星が形成されている領域の観測結果を報告する。さらに,今回の観測が偶然見つけた「原始的分子雲コア」(protocore)の可能性とそれが示唆するコア形成のシナリオを論じる。

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