超新星爆発におけるneutrino trappingの意義について

清水 守 (東大 宇宙理論研 M1)


Key Words ...
supernova,neutrino trapping


II型の超新星爆発では、重力崩壊中のコアでおこる電子捕獲反応などにより、コ
アの内部でニュートリノが発生する。ニュートリノは、ほかの粒子との相互作用
が小さい粒子なので、コアで解放された重力エネルギーを星の外部へ持ち出す。
その結果、重力崩壊が食い止められないという問題が生じると考えられていた。
ところが、1973年に、ニュートリノは、荷電カレントと呼ばれる粒子だけで
なく、中性カレントと呼ばれる粒子をも媒介として、他の粒子と相互作用をおこ
ない、以前に考えていたよりも他の粒子との相互作用が大きくなることがわかっ
た。これによりニュートリノが高密度のコアの内部に閉じこめられる「ニュート
リノ・トラッピング」と呼ばれる現象が起こり、重力崩壊を食い止めるという可
能性が1975年に佐藤勝彦によって提唱された。今回は、佐藤勝彦の論文を取
り上げ、ニュートリノ・トラッピングの意義を紹介する予定である。


参考文献 ...
"Supernova Explosion and Neutral Currents of Weak Interaction"
K.Sato Prog.Theor.Phys. 54 (1975),1325


Q&A

Q:Introduction でかいた、II型超新星爆発の起こる星の質量(M \stackrel{>}
{\sim} 8-10 M_{\cdot})が、K.Sato の論文紹介の時に出て来たシミュレーショ
ンの初期値(M=1.26 M_{\cdot})と,異なるのは何故か?
A:Introduction でかいた値は、水素の外層なども含めた星全体の質量であるの
に対し、K.Sato の論文紹介の時に出て来た値は、Feのコアのみの質量であるか
ら。ちなみに、M=1.26 M_{\cdot} は、56Feで構成されたコアのチャンドラセカ
ール質量である。

Q:n_{L}/n_{B} 対 \rho のグラフで、\rho の軸は、時間軸とどのように関係し
ているのか?
A:重力崩壊が進行して行くにつれて、密度が大きくなることから、\rho -> 大
に対して、time -> 大 となる。


'97 夏の学校 コンパクトオブジェクト分科会のトップページへ

プログラムのトップページへ

ポスター発表のページへ