BL Lac天体「Mkn421」の多波長同時観測(1994&1995)
山岡 和貴 (宇宙科学研究所 M2)
Key Words ...
BL Lac天体
BL Lac 天体「Mkn421」は電波からTeVγ線領域まで実に17桁におよぶ多波長領域で
観測されている3つの活動銀河核の一つである。BL Lac天体はOVV QSOと並び激しい
変動性を示すBlazarに分類され、これまで1994年と1995年に多波長同時観測が行な
われてきた。1994年にはWhipple Cherenkov ObservatoryによりTeVγ線領域でフレ
アが見られた直後にX線天文衛星「ASCA」では半日で強度が半減する現象が見られ、
X線とTeVγ線に相関があることが示唆された。1995年では2週間にわたって13桁に及
ぶ波長帯で同時に変動していることが確認され、各波長の放射が非常に近い領域か
ら出ていることが明らかになった。ただし、変動強度はX線とTeVγ線で同程度でも
っとも大きく、EUV,Optical(R band,B band)では変動幅は小さいものであった。
観測されたX線とTeVγ線での強度変化の相関は、X線領域にシンクロトロン放射して
いる高エネルギー電子がTeVγ線の輻射にも関与していることを示唆している。
また1994年からは、高エネルギー側の光子が低エネルギー側の光子より先行する現
象が見られ、この時間の遅れを見積もることにより、放射領域の磁場や電子のエネ
ルギーを求めることができた。1995年のフレア中のX線スペクトルは減光とともに軟
化し、巾関数型スペクトルの折れ曲がりのエネルギーが低エネルギー側に移行する
現象が見られた。こうした結果をふまえ、本発表ではX線とTeVγ線の強度変化の相
関について 議論する。
参考文献 ...
1. T.Takahashi et al.1996 APJ,470,L89
2. J.H.Buckley,et al.1996 APJ,472,L9
3. D.J.Macomb,et al. 1995 APJ,449,L99
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5. M.Punch,et al. 1992 Nature,358,477
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