X線天文衛星『あすか』によるLMC X-3の観測
有賀 洋一 (宇宙研 (学習院大学) M1)
Key Words ...
X線連星 -- ブラックホール
中性子星の上限質量である3倍の太陽質量を越えるcompact星はブラックホール
になると考えられ、中性子星とブラックホールを観測的に区別するにはこの質
量の差に注目するのが良い。X線天文衛星『あすか』によってブラックホールを
含むと考えられるX線連星LMC X-3の観測を1993年と1995年の計2回行った。その
際に得られたエネルギースペクトルの軟X線成分は降着円盤からのモデル輻射で
良く再現され、このモデルから見積もられた降着円盤の内縁の半径は、約50km
で安定していることが明らかになった。これは、降着円盤がSchwarzschild半径
の3倍まで伸びていることの証拠と考えられる。また、compact星の質量を見積
もると約6倍の太陽質量となり、可視光での観測結果(7倍の太陽質量)とも矛盾
のない結果である。X線観測によるcompact星の質量推定は、伴星が可視光では
検出できない場合にも適用可能であり、ブラックホールを同定する上での有力
な方法になると考えられる。
参考文献...
1.Cowley,A.P. et al., 1983 Ap.J. 364, 266
プログラムのトップページへ
口頭発表のページへ