つくば宇宙理論セミナー

第39

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ALMA 望遠鏡で探る超遠方銀河の性質

橋本 拓也 氏

大阪産業大学 / 国立天文台


要旨

電波干渉系 ALMA の登場によって、宇宙再電離時代 (宇宙年齢がおそよ2-10億年) にある銀河の研究は新時代を拓いた。サブミリ波帯に赤方偏移した遠赤外の微細構造輝線 ([OIII] 88μm, [CII] 158μm など) を ALMA で観測することで、再電離時代の星形成銀河を分光同定することが可能になったのである (e.g., Inoue et al. 2016, Science)。さらに、このような宇宙初期の時代、既に豊富なダストが存在することも明らかになってきた (e.g., Watson et al. 2015, Nature)。  本発表では、私たちのグループが推進している超遠方銀河の微細構造輝線 (主に [OIII] 88 μm) およびダスト連続光の観測結果を紹介する。まず私たちは、重力レンズ効果によって明るく見えている遠方銀河1天体を観測した。この結果、赤方偏移 z = 9.11 (宇宙年齢 5.5億年) にある [OIII] 88 μm の分光検出に成功した (Hashimoto et al. 2018a, Nature)。これは現在最も遠い輝線天体である。さらに、ハッブル宇宙望遠鏡やスピッツァー宇宙望遠鏡のデータも組み合わせた多波長データ解析から、観測時点よりも過去の星形成の歴史を遡った。この結果、この銀河が星形成を開始したのは z ~ 15 (宇宙年齢2.5億年) の頃だと推定され、宇宙最初期の星形成に知見を得た。次に、z = 7.15 (宇宙年齢7.5億年) にある銀河1天体を観測した結果、[CII] 158μm, [OIII] 88μm, ダスト連続光を全て空間分解して 検出した (Hashimoto et al. 2018b)。再電離時代の銀河でこれほど多くのフィーチャーが得られている星形成銀河は、この天体が唯一であるため興味深い。ハッブル宇宙望遠鏡でトレースする紫外光が空間的に分離した2成分から構成されており、ALMA で観測した輝線が速度構造を持つことなどから、この銀河は合体銀河であると推測される。この他、現在進行中のプロジェクトや、将来計画している研究案を議論する。

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